FC2ブログ

GPIF、CIO退任 ~ 「改革者」か「破壊者」か

「厚生年金と国民年金の積立金約130兆円を有する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO)が9月末の任期満了で退任する」(14日付現代ビジネス 「アベノミクスの「立役者」がGPIFを去る…その意外なインパクト」

知らなかった。大手メディアはどこも報じていないが「現代ビジネス」のスクープなのだろうか。確かに任期は今月末までだが。8月末に公表された「2019年財政検証の結果」によって、GPIFが基本ポートフォリオを修正するという話も出ていることと関係がある話しなのだろうか。

「フェア(公正)に、ファクト(事実)を指摘すれば、同氏の功績は以下の通り、列記できる。(1)債券中心のGPIFの保守的運用を国内外株式を5割に引き上げる積極運用への転換、(2)海外投資家の「水先案内人」として海外機関投資家の対日投資促進に尽力、(3)特にカルパースなど海外の年金基金の日本株投資を促した――。

それだけではない。年初のフラッシュ・クラッシュで対ドル円レートが104円台への円急騰局面で円売り市場介入に動けない日本銀行に代わりGPIFが外債投資で円高阻止に貢献したこともまた周知の事実である」(同)

資産運用の専門家の端くれとしては、こうした見方には全く賛同できない。

それは、国内株式への投資比率を高め株価2万円超実現に大きな役割を果たすことや、政府に代わって円高阻止に動くことが公的年金の運用責任者の責務だとは思えないからだ。

先月20日にカルパースの理事会で行った「グローバル市場が非常にシンクロナイズ(同期化)された状況の下で、運用担当者はあらゆる資産クラスで損失を出す危険がある」というGPIFのCIOとして適切とは思えないタイミング、場所での無責任な発言も退任することが決まっていたから出てきたものだったようだ。

「グローバル市場が非常にシンクロナイズ(同期化)される」という「相場観」を持てなかったCIOは、「GPIFの運用改革者」ともてはやしてくれる人がいるうちに辞めるのが得策だという「相場観」を持ったようだ。

それは、数年後には自分が「改革者」ではなく「破壊者」だったことが明らかになることを悟っているからだろう。

先月末に公表された財政検証の結果を見ても、残念ながら今回のCIOの相場観はかなりの確率で当たりそうだ。

問題は、CIOはが去っても、GPIFには「グローバル市場が非常にシンクロナイズ(同期化)される」という相場観を持てなかったCIOが残したツケが残されるということだ。

そして、そのツケを払うのは残念ながら国民なのだ。
スポンサーサイト



「マツダ3」不振 ~ 個性を捨てたマツダに魅力はあるのか

「マツダ3」が苦戦を強いられているようだ。

<参考記事>
10日付日経電子版;「マツダ3」不振で不協和音 部品各社「殿様商売だ」

古くはコスモ、RX-7、ファミリア、ランティス、RX-8…。免許を取ってから40年強の間、かなり長い期間マツダ車に乗ってきた。特にロータリーエンジンのファンでないにもかかわらずマツダ車に乗ってきたのは、個性的なデザインの車が存在していたからだ。

今年15年間乗ってきた愛車RX-8をついに手放した。買い替えを検討し始めたときには当然マツダも対象に入っていた。

しかし、すぐにマツダは検討対象外に。それは、セールスマンとの相性もあるが、高級化という名の下にモデルチェンジのたびに数センチずつ車幅が広がり、とうとう我が家のコンクリートで囲まれたガレージに入る車がアクセラとデミオだけになってしまったからだ。

もともとファミリアであったアクセラには魅力を感じていなかったし、その割に価格が割高だったことが一番の理由。

もう一つの大きな理由は、ブランド戦略として進められてきたデザインの統一化。いまやデミオからアテンザまで全て車体のデザインがほぼ同じ。駐車場に止められた車を遠目から見たとき、アテンザなのかアクセラなのかデミオなのか分からない。それはマツダの最大の長所ともいえる個性的な車がなくなったということでもある。

さらに、我が家のように車幅の制約がある人間にとっては安い車種しか選べないというのは大きなストレスになる。

これは外車でも同じ。制約条件があって小さな車種しか選べないというストレスがあるなかで、価格が割高となったら購入意欲は全く湧いてこない。

結局我が家が最後に選んだのは、以前セカンドカー候補として考えていたもともと小さい国産車。理由は奥様が可愛いと満足してくれたから。小生の拘りでドイツ車を購入して、ずっと奥様に「私が好きな車じゃない」と不満を言われるリスクも含めれば、コスパは最高だといえる。

個性のないマツダ車には乗る価値はない。長年のマツダ車愛用者からは今回の「マツダ3」の不振は必然のように思えてならない。

RX-8から小さな国産車に買い替えて約5カ月。未だにマツダの担当者は我が家がRX-8に乗り続けていると思っているのか、点検の案内等を送ってくる。これも少々問題。

キャッシュレス社会

「8月の街角景気について、内閣府は「このところ回復に弱い動きがみられる」との判断を据え置いた」(9日付日経電子版 「8月の街角景気、製造業冷え込む 増税後に増す不安」

どのように見たらこうした「回復」という判断に至るのだろうか。どんなに情報を集めても、それを客観的に見る目がなければ宝の持ち腐れ。データを歪めてみるのであれば、データーなどない方がまし。

「駆け込み需要がないまま、10月の消費増税を迎えることになる」(北海道・住宅販売会社)

足元の日本経済の問題は、記事内で紹介されているように、10月の消費増税を前に駆け込み需要が起きていないこと。

「政府はキャッシュレス決済に伴う還元策などで消費の下支えをしようとしている」というが、問題は決済手段ではなく、消費者の財布の中が「キャッシュレス」になっていることだ。

マイナス金利政策と金融リテラシー

「利回りがマイナスの債券の残高は世界で約17兆ドル(約1800兆円)と年初から2倍になり、いまや全体の約4分の1を占める」(8日付日経電子版 「水没する世界の金利 債券の4分の1、マイナス圏」

因みに日本国債の発行残高は約900兆円。その日本国債は残存15年までは全てマイナス利回りになっている。財務省が発表している「普通国債残高の残存期間別内訳(3月末時点)」には「15年以下」という分類はないが、「20年超」が11.6%で、「20年以下」88.4%であることから、「15年以下」は概ね80%程度だと推察される。

これに基づくと、発行残高が900兆円の日本国債の720兆円がマイナス利回りということ。つまり、世界のマイナス利回りの債券のうち4割は日本国債が占めていると思われる状況にある。

因みに日銀は8月末時点で発行残高の5割を超える480兆円の国債を保有している。つまり、日銀は世界のマイナス利回り債券の4分の1程度を保有しているのだ。

マイナス利回りの国債が「いまや全体の約4分の1を占める」ということだけでなく、「マイナス利回りの国債の4割を、世界の国債市場のシェアが18.8%(WGBI ベース)程度の日本国債が占めている」ということ、「日銀が世界のマイナス利回りの債券の4分の1を保有している」ことも報じてもらいたいものだ。

こうした中でも黒田日銀総裁はマイナス金利の深掘りを模索し、さらなる異常事態を招こうとしている。

金融的にいえば、マイナス金利政策は全く意味がない。

確実にいえることは「マイナス金利政策が日本人の金融リテラシー向上の大きな妨げになっている」ということ。

逆説的にいえば、国民の金融リテラシーを低く保つことがマイナス金利政策深掘りの条件になっている。

深読みすれば、黒田日銀総裁がマイナス金利政策の深掘りを目指すのは、国民の金融リテラシーを低い状態に保ちたいという思いを持っているからかもしれない。

その一方、国民にとって最悪なのは、黒田日銀総裁の金融リテラシーが低いことがマイナス金利政策深掘りを目指す原因となっていることだ。今のところ可能性は「50:50」程度のように思えるが…。

GPIFは「想定できなかった」で許されるのか

「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO)は20日、グローバル市場が非常にシンクロナイズ(同期化)された状況の下で、運用担当者はあらゆる資産クラスで損失を出す危険があると語った」(21日付Bloomberg 「GPIF水野氏、全資産クラスで損失の危険-市場のシンクロに警鐘」

現在日本で最も資産運用に関する高い知見が求められるGPIFのCIOが「市場のシンクロナイズ化が進んでいる」ことに今頃になって警鐘を鳴らしている場合だろうか。

「株式で損失を被る際には債券で利益が得られるというのが、ポートフォリオ分散の一般通念だが、GPIFがあらゆる資産クラスで損失を出し、為替差損も被る状況は、これまで起きたことがないと説明した」

「これまで起きたことがなかったので想定できなかった」という弁解は、一般投資家には許されても、GPIFのCIOには許されるものではない。

少なくとも小生は2014年10月にGPIFが基本ポートフォリオを変更したときから、基本ポートフォリオ変更の根本的な問題は「分散投資効果が発揮されない経済状況になっていることに全く気付いていないことだ」というを、このブログでも講座でも繰り返し指摘してきた。

要するに、こうした事態は資産運用に対する高い知見を持っている専門家であれば気付いて当然だったのだ。

しかも、こうした日本国民にとって極めて重要な問題を、日本から遠く離れたあ米カリフォルニア州サクラメントでの米最大の公的年金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の理事会で発表するというのは如何なものか。

カルパースに報告するより前に、国内で発表するべきではないだろうか。「公的年金2000万円不足問題」が大きな政治的問題となった直後ということで「忖度」」したのだろうか。

重要なことは、こうした運用の間違いは、「コスト(損失)」を負わずして修正することは出来ないことだ。

「代案」はある。しかし、「誤った判断」」をなかったことにする「代案」は存在しない。

こうしたことを国民はもう少し認識した方がいい。資産運用や経済政策は「最初の一歩」が最も重要で慎重に検討する必要があるのだから。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

近藤駿介 Official Site

各種お知らせ等はこちらから

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR