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GPIF18兆弱赤字。しかし年金給付に影響はない

「GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人は、ことし1月から3月の運用実績が過去最大の17兆7072億円の赤字となり、昨年度1年間でも8兆2831億円の赤字になったと発表しました。GPIFは「運用は長期的に行っており、累積では収益があることから年金給付には影響しない」としています」(3日付 NHK NEWS WEB 「公的年金の積立金運用 1~3月 17兆7072億円の赤字 過去最大」

コロナショックの影響をもろに受け、GPIFの運用資産評価額は1-3月期に18兆円近く減った。

いつもなら大きな話題になるニュースのはずだが、4月以降株価が大きく戻っていることや、東京での新型コロナウイルスの新規感染者数が2日連続で100人を超えたという大きなニュースがあったこともあり、扱いは極めて小さくなっている。確かに4月以降の世界的株価の反発によってGPIFの運用資産評価額は12兆円程度増えていると推計されるが。

「累積では収益があることから年金給付には影響しない」(同)

確かに現時点ではGPIFの運用収益は年金給付に使われていないので「年金給付に影響しない」。しかし、それは「累積では収益がある」からでも「長期運用」だからではない。

なぜGPIFは「GPIFの運用資産は年金給付に使われていないから年金給付に影響はない」と説明しないのだろうか。それは、近い将来「GPIFの運用資産を年金給付に使う」ことになっているからだろうか。

「財務省は3日、2019年度の国の税収総額が18年度に比べて約2兆円少ない58.4兆円になったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて企業収益が落ち込み、法人税が約10.8兆円と前年度比で1.5兆円程度減少した」(3日付日経電子版「昨年度の税収2兆円減、法人税1.5兆円落ち込み」

年金給付という点ではこの「2019年度の国の税収総額が18年度に比べて約2兆円少ない58.4兆円になった」というニュースの方が重要だといえる。その理由と詳細は拙著「202X金融資産消滅」で。

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コロナ禍でも増益 ~ 出す方が悪いのか、信じる方が悪いのか

「リポートを信じて投資し、多額の損失を被った投資家が損害賠償請求訴訟を起こせば、野村の不手際が司法の場で厳しく追及されるだろう」(1日付日経電子版「野村のリポートが示す業績予想の難しさ 機関と個人向けに違い」

本当にそうだろうか。「自己責任原則」の社会では、リポートを信じる信じないを含めて「自己責任」のはずだ。

「それでもアナリストは一応、「感染第2波は起きない」など一定の前提を置けば、独自の業績予想を出す能力を持った人たちだと考えられている」(同日経電子版)

こうした幻想がそもそもの間違いもと。もちろん証券会社はこうした幻想を抱かせるような演出をしているが。

1990年以降のアナリストは、株価を含めた予想の正確性を売りにする一方で、その後の情勢の変化に応じて(後追いして)予想変更したものも「リビジョンインデックス」なるもので売り物にしている。

リビジョンインデックス(202006)

簡単にいうと、予想の正確性も、その予想が外れること(こちらの方がほとんどだが)をも売り物にしているということ。小生が1990年代前半に運用会社から総合研究所に出向させられた際に驚いたことの一つ。

正確なのか不性格なのか定かでないアナリストの予想を2度も3度も使いまわせるのは、アナリストの予想変更には全くコストがかからないからだ。投資家は予想が間違って変更を強いられた際には、多くの場合「売却損」というコストを支払うことを強いられる。運用会社出身の小生には「アナリストは気楽な稼業」に映った最大の理由はこれ。

「野村が6月9日に発表した見通しは、金融を除く全産業306社ベースで、20年度が0.2%の経常増益、21年度が25.7%の経常増益を見込んでいた。「コロナ禍による打撃はあまり大きくないんだな」と受け止めた人も多かったと思われる」(同日経電子版)

大変申し訳ない言い方だが、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出され、外出自粛や営業自粛が続く状況を目の当たりにし、連日世界的に悪影響が広がっていることが報道されていたなかで、企業業績の増益を信じるような人は投資に向かない人だと言わざるを得ない。

投資家にとって最も重要なことは、株価予想や業績予想の「数字」を導き出す能力ではなく、社会常識を持つことだ。多くのアナリストの予想が当てにならないのは、実際のビジネス経験をもっていない、つまり社会常識に疎い人達が多いからに他ならない。

「新型コロナウイルスの影響があっても日本企業は増益を保てるんだ」と思い込むような人は、すぐにでも投資を止めた方がいい。はっきり言って投資には向いていないからだ。

ユニクロ、時価総額ZARA接近 ~ 「東京モデル」への評価か、「異様な国策」が演出する喜劇か

「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ファーストリテイリングの株式時価総額がアパレル世界最大手に近づいている。「ZARA」を運営するインディテックス(スペイン)との差は2017年夏の約4倍から、足元で約1.4倍まで縮まる。欧米市場の需要が急減する中、ファストリが主力のアジアは落ち込みが緩やかだ」(19日付日経電子版 「ファストリ、世界首位を意識」

ZARAの売上は約3.40兆円とユニクロの約1.4倍であるから、時価総額の差が約1.4倍まで詰まったとしても不思議なことではない。むしろ当然のように見える。

気になることは、ファストリ社の株主構成が上位10位のうち柳井社長を含めた親族とその資産管理会社が7人/社、信託銀行が3社と偏っているうえ、親族とその資産管理会社の持ち株比率合計は48.25%を占めていること。

さらに日本では日銀の大量のETF(上場投資信託)買いが問題になっている。その額約32.4兆円。ファストリ社の構成比率はTOPIXベースで約0.33%、日経平均株価では実に10.05%に達している。ここから推測される日銀のファストリ社株の間接保有額は約1.7兆円強、時価総額の約18%だ。

これらの状況から指摘できることは、所謂「浮動株」が極めて少ない状況がファストリ社の株価を割高に押し上げている可能性があるということ。こうした影響を反映してか、ファストリ社のPER(株価収益率)は約63倍と、ZARAの倍以上の水準で、「持合い」が問題となった時代を彷彿させるPER水準となっている。

エアリズムマスクの発売など、タイムリーに魅力的な商品を市場に提供してきたファストリ社に対して市場が高い期待を抱くことは、それはそれで当然である。

しかし、上場企業としては極めて少ない「浮動株」、国策として中央銀行が上場株を大量に買い込んでいるという異常な状況にあるなかで、「時価総額」というもので企業の価値を測ることが適正なのかという疑念は拭えない。

こうした異常な状況の中で、縮まってきたとはいえファストリ社とZARAの時価総額格差がほぼ両社の売上格差と同じであるということは、実際は世界の投資家がファストリ社の価値をディスカウントしてみているといえないことはない。もしその原因が「異様な国策」にあるのだとしたら由々しきことでもある。

夜の「WORLD MARKETZ」と 「昼間の顔」

昨晩電話出演した「WORLD MARKETZ」の様子がYouTubeで公開。

・疑心暗鬼マーケット
・Vix指数の下げが株価上昇をもたらしている。それは…
・日本人は「中央銀行=株価を支える存在」と思い込んでいる
・金融的措置を構築してあるFRBと、議論もされていない日本
・見た目の経済と金融/資金の動きの乖離~街の人出は戻りつつあるが、投資資金は全く動いていない
・株価上昇という市場の現実から、コロナ後の経済の水準という現実に目を向ける局面へ

等々についてコメント。

「資金が動いていない」というのは、給付金などが届かないということではなく、給付金に代表される運転資金の融資が優先されていて、企業や社会の成長に必要不可欠な「投資資金」が後回しにされているということ。これは金融市場の動きからの分析ではなく、小生の実務上の実感に基づいたお話。

こうした話の流れもあり、今回初めて小生の「昼間の顔」が「投資家」や「投資アドバイザー」ではなく、「企業の資金調達やファイナンススキーム構築等のアドバイザー」であることもカミングアウト(カミングアウトというほどのものではないが)。蛇足だが具体的な業務内容の詳細やご相談は「近藤駿介 OFFICIAL SITE」 で随時受付中です。

小生の出番はいつも通り12分過ぎから約20分間。最後は時間ギリギリになり少々巻き気味でのコメントに。

現実の金融経済を熟知したFRBが繰り出した「必要悪」

「FRBのバランスシート(6月10日時点で7.2兆ドル)は20年末には10兆ドルを超えそうだ。コロナ危機前の資産規模は4.5兆ドルが最大で、その2倍を超す「極めて巨大な中央銀行」となる」(16日付日経電子版 「FRB、6千億ドルの企業融資始動 未経験の損失リスク」

教科書上の金融経済でなく、現実の金融経済を知っている中央銀行ならでは動き。教科書上の金融経済しか知らないメンバーが「躊躇なく」を無意味な言葉を繰り返すだけの某国中央銀行とはレベルが違う。

投資家が勘違いしてならないことは、FRBの一連の政策目的は株価を支えることではなく、あくまで金融を守るための政策だということ。株価上昇はその副産物だといえる。

「中央銀行として経験のない損失リスクも抱えることになる」(同日経電子版)

勿論FRBは一連の政策が「極めて異例の措置」であり、コロナ危機を克服するための必要悪だということは知っている。そうした安心感が株価を支える安心感を生んでいる。単純にETFの購入で株価を支えようとする国との大きな違いだ。

FRBが世界経済の最後の拠り所である状況は一層強まってきたようだ。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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