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新型コロナウイルスの感染拡大を止めることが最大の経済対策という誤り

昨晩から情報番組でエコノミスト達が日米の金融緩和にも関わらず金融市場が大幅下落したことなどについて論じている。

残念ながら金融市場の恐ろしさと金融の仕組みを知らない人達がいくら論じても金融市場の混乱をおさめることはできないだろう。

もっと金融市場や金融の仕組みを知っている人間の知恵を結集しなければならない。もちろん株価や相場予想の専門家は不必要だが。

今回の世界的株価の急落が、10年以上にわたる世界的金融緩和局面で起きていることをもっと重要視しなければならない。

「金融緩和で潰れた市場を金融緩和で救うことは出来ない」という認識を持つことと、「新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めることが最大の経済対策だ」という考えを捨てることがスタートだ。

世界経済を守るために「時間」的に優先順位が高いのは新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めることではなく、「金融市場」を守ることだ。

こうしたなか、昨日の朝、FRBの緊急利下げのドタバタの中で提出したコラム「新型コロナ『世界同時株安』最もヤバいのは「日本人の年金」の可能性 ~ パンデミック・マーケットと信用緩和」が現代ビジネスで公開されました。

新型コロナウイルスの感染拡大ショックで急落している金融市場に歯止めをかける手段と、日本の公的年金資金を運用しているGPIFが先週末時点で20兆円(16日時点では24兆円)という過去最大の損失を抱えた可能性が高いことなどを指摘しています。

やや長文ですが、是非お読みください。



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新型コロナウイルス ~ 入国制限を受ける比較的安全な日本?

「向こう数週間に米国内の新型コロナウイルス感染確認数が急増しても、驚くべきではない。また、だからといってウイルスの拡散ペースが急加速したと勘違いすべきではない。(中略) ジョンズ・ホプキンス大学がまとめたデータによると、9日時点の米国の新型コロナウイルス感染確認数は605人。その前の週は101人だった。これは、感染した人数が急増したのではなく、感染が確認された人数が増えたということだ」(11日付 Wall street journal 「米国のウイルス感染者数、投資家は早合点禁物」

日本の感染者数は552人(11日正午時点)と、中国の8万778人、イタリアの1万149人、イラン8,042人、韓国7,755人などと比較してみると少ないといえる。しかし、日本の検査実施人数は未だに1万人に満たない(9195人)。保険適用がされたにも関わらずだ。

そんな日本が、9日時点で既に5万4000人以上を検査を実施しているイタリアの感染者が1万人以上であることを以て「イタリアは欧州の武漢」として危険だと騒ぐのは筋違いであり、滑稽でもある。WSJもこうしたことを指摘しているのだろう。暗に検査を実施しない国が、自国の感染者数が少ないことを根拠に他国を危険な国だと非難する権利はないという怒りを込めて。

日本が中国やイタリア、イラン、韓国と同じように、29の国と地域から入国・入域制限を受けているという現実は、世界が日本が公表する感染者数を真実として捉えていないことの証左である。日本政府はこうした現実を謙虚にかつ真摯に受け止める必要がある。世界は必ずしも「少ないことがいいことだ」と受け止めていないのだから。



「2019年になり多くの人達が一斉に資産形成に向かい始めているが、今は資産形成を始める時期として適切な時期ではない。
少し前の流行語風にいえば、資産形成を始めるのは「今じゃないでしょ!」ということだ。
それは、数年後から資産形成に強い逆風が吹きつけることが明らかだからだ。しかもその逆風が吹きつける期間は2~3年ではなく、10年~20年といった長期に及ぶ可能性が高いのだ。」(「はじめに」より)

手順前後 ~ 歯止めかからぬ感染者増

「厚生労働者によると、6日に全国の自治体から報告を受けた新型コロナウイルスの国内感染者は59人となった。クルーズ船を除けば、1日での報告者数としては過去最多。安倍晋三首相は大規模イベントの中止・延期や小中高校の臨時休校などを要請しているが、現段階では感染者数の増加に歯止めがかかっていないようだ」(7日付 Bloomberg 「安倍首相、企業の資金繰り『強力に支援』-10日に緊急対策第2弾」

イベント中止や臨時休校という措置を取らなかった場合と比較できないことなので、これらの措置が感染拡大に効果がないとは言い切れないが、イベントの中止・延期や臨時休校の措置の見直しを求める意見も強まってくるだろう。このままだと日本経済が死んでしまいかねないから。

政府が感染拡大を防げなかったのは、中国等からの入国制限という「水際対策」とイベント中止&臨時休校という「感染拡大防止策」とが手順前後だったこと。イベント中止や臨時休校という措置は、国内にコロナウイルスが蔓延していることを前提としたものだから、そのあとに「水際対策」を打ち出したところで感染拡大を防げなくても当然のこと。

イベント中止や臨時休校措置自体はコロナウイルス感染拡大に一定の効果をもたらしているのかもしれないが、その前に「水際対策」をしなかったことでその効果は失われてしまったといわざるを得ない。

あとは政府の手順前後というミスによる死者がこれ以上増えないことと、日本経済が臨終を迎えないことを祈るばかり。政府の手順前後というミスも加わり、懸念してきた「202X金融資産消滅」が現実に近付きつつあるようだ。

スーパーチューズデイを見てリスクオン?

「米大統領選に向けた米民主党の予備選などが集中する『スーパーチューズデー』の開票状況を受け、CTA(商品投資顧問)などが米株価指数先物に買いを入れた」(4日付日経電子版 「日経平均、終値17円高の2万1100円」

大票田のテキサスで勝利するなど中道派をまとめたバイデン元副大統領が盛り返しを見せている選挙状況は、「トランプ大統領の再選の可能性が下がっていくこと」を最大のリスクだと感じている投資家にとっては good news ということ。必ずしもバイデン大統領の誕生を願っているわけではない。

25年後の日経平均は4万円台???

「45年末時点の日経平均株価の水準について、専門家49人の回答の中央値は4万5200円で、低金利の長期化や円安をてこに1989年12月末に付けた過去最高値(3万8915円)を16%上回るとみる」(29日付日経電子版 「プロに聞く25年後の日経平均、最多予想は4万円台」

調査の時期が「2019年12月2日~20年1月6日」とコロナウイルスの感染拡大があまり織り込まれていない時期であることを少しは割引く必要はあるかもしれないが、「証券会社や銀行、保険会社、運用会社、調査会社などの売買、情報、運用、調査担当者」に聞くとこういう超楽観的な見通しになるという典型。

この先25年間「低金利の長期化や円安」が続き、それが株式市場の追い風になると考えるというのは専門家とは思えない楽観的過ぎる見方に思えてならない。この先25年も低金利が続くというのは経済が低迷し続けるということ。政策金利も長期金利もマイナス水準に沈んでいる状況を考えると「低金利の長期化」が株式市場の追い風になるとは常識的に考えにくい。

この1週間だけで日銀はETFを2812億円購入し、保有額は既に29兆円を超えて来ている。専門家達は過去最高値(3万8915円)を16%上回るまでに日銀は一体どのくらいETFを買付けることを想定しているのだろう。

こうした超楽観的なアンケート結果から分かることは、新著「202X金融資産消滅」で指摘している「世界最大の機関投資家GPIF」が売手に回ることを考えている専門家は皆無だということ。

早ければ今年度からGPIFが売手に回る可能性を想定している小生は、生きている間に過去最高値更新を見れない可能性の方が高いと考えている。

金融商品販売を生業としている1990年のバブル崩壊の恐怖を体験していない多くのプロの目には「相場」以外の「GPIFが売手に回ること」や「日銀のETF買いの限界」などは目に入って来ないのかもしれない。

高齢化の進展によってGPIFの資産が年金給付の財源として使われ始めることは決まっていることで「相場」状況で変わることはなく、問題はいつから始まるかという時期の問題であるということだ。このことを認識せずに盲目的に資産形成に励んでいくと、将来「受け取る年金も、自身の金融資産も目減りする」というダブルパンチに見舞われることになる。



詳細は拙著「202X金融資産消滅」で。


202X金融資産消滅

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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