「相続対策でタワーマンション購入」の行く末

「東京都内に住む60歳代の元会社経営者は悩んでいる。相続対策でタワーマンション購入を考えているのだが、販売価格が高すぎると感じ、将来の値下がりを心配しているのだ」(21日付日経電子版「黄昏 マンション市場 富裕層も息切れ、値崩れあるか」)

何も悩むことはない。

自分が住むか、他人に貸すか。どちらにしても不動産の価格は「不動産としての価値」に基づいて決まるもの。

「不動産としての価値」とは関係のない相続税対策によって「不動産としての価値」以上に高く付けられた価格は、例え節税という短期的メリットを生んだとしても、長期的にはそのツケを何かの形で払わなければならない。

「不動産としての価値」が乏しい物件に対しては「不動産としての価値」が低い物件としての価格しかつかなくなるのだから。

端的にいえば、相続対策で高い物件を購入するということは、「目先の収益」と「将来の損失」を交換する行為。どちらを選ぶかは選択の問題。重要なことは、ゆめゆめ「目先の収益」と「将来の利益」の両方を手に入れようとしないことだ。「二兎追うものは一兎も得ず」という先人の教えを心に刻んでおくことが必要だ。
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安倍総理、F35値下げに感謝 ~ 「ステルス値下げ」で鯛を釣られることなかれ

「米ロッキード・マーチン社がトランプ氏との交渉の結果、日本向けを含む最新鋭ステルス戦闘機F35を値下げしたことに安倍晋三首相が感謝したと述べた」(19日付日経電子版)

世界に先駆けてトランプ氏を「信頼できる指導者だと確信した」安倍総理の存在は、敵の多いトランプ大統領とって味方として都合よく名前を利用できる数少ない「nice guy」のようだ。異例の厚遇を受けたのも当然といえる。

トランプ大統領のおかげで日本が購入予定の4機のF35購入費は総額で36億円ほど下がった。2017年度の日本の防衛費は5.1兆円なのでその0.07%が節約できた計算。防衛費の大幅拡大が批判の的になっている安倍総理にとっては、感謝、感謝ということか。

顕微鏡で見なければ見ることのできない「ステルス値下げ」だが、その分日本の対米貿易黒字は増えることになる。こんな小さなエビで為替や通商交渉で大きな鯛を釣りあげられないように気を付けてもらいたいものだ。

アベノミクスを通して学ぶ金融・経済

今日は早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校でやっている講座「アベノミクスを通して学ぶ金融・経済」の4回目。土曜日の午前中にも関わらず毎回40人前後の方が熱心に参加してくれている。他の講座の参加者は年配の方がほとんどだが、小生の講座は若い人の比率が高い。

過去3回の講座で日本の金融制度やマイナス金利政策の説明を行ってきたので、今回は黒田日銀総裁の発言や、異次元の金融緩和の「出口」、トランプ大統領とFRBの関係など、世の中で話題になっている事柄と金融制度などが現実にどのように結びついているのかを具体的に説明。

新聞やメディアでは語られることのない現実的、具体的内容だったせいか、受講者の表情はいつも以上に真剣だった。

テーマが受講者の興味を感じられるものだったのか、講座終了時に拍手が沸き起こった。単発のセミナーではあるが、5回シリーズの講座の途中回で拍手を頂けるというのは想定外、うれしい誤算。

前日深夜まで資料作りをした甲斐があった。学校側には資料の送付が毎回当日朝になり迷惑をおかけしているが。

やはり、多くの人がアカデミックな話より、現実の金融・経済に興味を持っていることを感じられ、うれしい一日となった。来週は本講座の最終回。次回は7月からの夏講座に登壇予定。シラバス提出という大学側からの宿題を忘れないようにしないと。

本講座の開催にご興味のある方は是非ご連絡ください。全国どこでも対応可能です。

現実を正見できない黒田総裁が一蹴した「シムズ理論」

「各国中銀総裁の認識も、物価水準の決定に金融政策が非常に重要な要素だということで変わりなかった」(15日付日本経済新聞「日銀総裁、効果は疑問視」)

全く意味不明で記事にする価値もない発言。

そもそも物価安定という責務を担っている中央銀行総裁が「物価水準の決定に金融政策が非常に重要な要素だ」と発言するのは当たり前のこと。

「ハンマーを持つ人には、全てが釘に見える」(マーフィーの法則 ~ バルックの考察)

「日銀の黒田東彦総裁は14日の衆院予算委で、物価は財政拡大で押し上げることができるという『シムズ理論』を『色々な前提を置かないと出てこない話』と一蹴した」(同)

黒田総裁の「様々な前提を置かなければ財政拡大で物価を押し上げることはできない」という主張が正しいとしても、それが「金融政策で物価を押し上げることができる」ことの証明にはならない。

もし「物価水準の決定に金融政策が非常に重要な要素」であると考えているのであれば、4年近く「異次元の金融緩和」を続けている日本の消費者物価が10カ月連続のマイナスとなっている現実を論理的に解明して有効な手を打つべきである。

何とかの一つ覚えのように「原油価格の下落が…」と繰り返しているが、同じ条件下で米国の消費者物価指数は前年同月比プラス2.1%、EUの消費者物価指数は前年同月比プラス1.8%となっている。

日本の消費者物価が10か月連続のマイナスになっているという現実は、黒田総裁が示してきた「様々な前提」が間違っていることを示している。

「物価水準の決定に金融政策が非常に重要な要素だ」というのが各国中銀総裁の共通認識だとしたら、各国の中銀総裁の目には日本経済の現状は相当奇異に、そしてさぞかし日本の中銀総裁が無能に映っていることだろう。

「経済専門家にとっては、現実世界は特殊ケースである」(マーフィーの法則 ~ ホーングレンの考察)

「同理論(シムズ理論)が世界の中銀の主流と離れていると強調した」(同日本経済新聞)

日本経済にとって問題なののは、中銀の主流と「シムズ理論」がかけ離れていることではなく、現実と日銀総裁の考えがかけ離れていることだ。

政府と日銀が、現実の前にもっと謙虚にならない限り、財政の拡大でも、金融政策でも物価水準を安定させることは難しそうだ。

イエレンFRB議長議会証言 ~ 予想以上にタカ派的発言だった

昨日電話出演した 「WORLD MARKETZ」 や今週の有料メルマガ等のコンテンツで指摘した通り、イエレンFRB議長の議会証言の内容は市場予想以上にタカ派的であった。

◆WORLD MARKETZ(2017/2/14)
小生の出番は37分過ぎから53分くらいまで。

「金融緩和の縮小を遅らせることについては『米連邦公開市場委員会(FOMC)が急速な利上げを求められ、金融市場を混乱させ、景気を後退させるリスクになる可能性があるため、待ちすぎは賢明ではない』との考えを示した」

議会証言でイエレンFRB議長は「behind the curve」のリスクに言及した。この発言を日経は「年前半の利上げに意欲」という見出しで報じている。

しかし、「証言後の質疑応答では、当局は今後数カ月間にバランスシートの戦略について協議すると述べた」(Bloomberg)、「議長は今後数カ月に、どのようにバランスシートを縮小していくかについて協議することも明らかにした。ただ、バランスシートの縮小は現在の利上げ局面がかなり進んだ段階で着手するとの方針をあらためて示した。バランスシートの規模は最終的には、現時点よりもかなり小さくなるとしたほか、段階的に償還資金の再投資を停止し、米国債が中心の構成になることが望ましいとの考えを示した」(ロイター)と、海外メディアが報じたイエレンFRB議長がFRBのバランスシート縮小に言及をしたことについては全く触れていない。

FRBのバランスシート縮小問題は今後の注目点になるという認識が乏しいのだろうか。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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