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新著「202X金融資産消滅」~ アベノミクスの後遺症

来週出版される新著「202X 金融資産消滅」が完成し送られて来ました。

年金2000万円不足問題によって、年金が何歳からどのくらい貰えるのかという受給に関する情報や議論は増えましたが、現在の公的年金資金が金融市場に及ぼす影響に関する情報は全くありません。

本著は公的年金資金(GPIF)が今後招くことが確実な「アベノミクスの後遺症」に焦点を当てて書き下ろしたものです。年金に頼らずに自分で老後資金の確保を目指す現役世代の方々、退職金の運用などを検討中の方々、是非ご一読を。

202X金融資産消滅~アベノミクスの後遺症①
202X金融資産消滅~アベノミクスの後遺症②
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202X金融資産消滅 ~ GPIFが個人金融資産を押し潰す

公的年金資金によって、「公助から自助へ」と向かう人達の個人年金資産が押し潰されることはあってはならない。

こうした思いが、今回「202X金融資産消滅」を書き下ろす原動力となりました。

「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる」

2019年6月3日に金融庁が公表した市場ワーキンググループ報告書「高齢化社会における資産形成・管理」の中に記されたこの一文が、「年金2000万円不足問題」「年金不安」など思わぬ批判を招いてしまったことは記憶に新しいところです。

大きな騒動を起こしてしまった報告者ですが、このような騒動を引き起こすことになるとは、金融庁は勿論、報告書をまとめた有識者達も全く想像もしていなかったに違いありません。

それは、国の後押しを受けて「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げてきた金融業界にとって、「老後資金が不足する」ということが「貯蓄から投資へ」を推し進めるうえで必要条件、前提条件であったからです。

もし、皆さんの収入と貯蓄、年金で皆さんが望む老後が過ごせるのであれば、リスクを取って「投資」をする人を増やすことは出来ません。つまり、「貯蓄から投資へ」という大きな流れを作り出すうえで、皆さんの収入だけでは希望する人生を実現することが出来ないということが前提条件になっているのです。

「皆さんの収入は、皆さんが希望する生活を実現するために必要な資金を常に下回る」

これが「貯蓄から投資へ」を推し進める政府と金融業界にとって大前提です。この大前提のうえに、ゼロ金利時代が長く続く中では貯金では金融資産を増やすことは出来ないから投資が必要だという理屈が構築されているというのが現実なのです。

ですから、金融庁の報告書をまとめた有識者達にとって、「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる」という文言が批判や年金不安を掻き立てる材料になるとは想像もしていなかったとしても当然なのです。

大きな批判を呼んだ報告書でしたが、これまで資産運用に関心を持っていなかった現役世代の人達の間に自分の老後は自分で守ると「貯蓄から投資へ」、「公助から自助へ」という意識を植え付けるきっかけにはなったようです。これまで長年政府と金融業界が起こそうとしてきた「貯蓄から投資へ」という流れが、想定外に沸き上がった「年金2000万円不足問題」によって出来始めたことは何とも皮肉な現象といえますが。

「年金2000万円不足問題」の台頭によって年金問題に対する関心も高まり、メディアでも年金問題が盛んに取り上げられるようになりました。しかし、「貯蓄から投資へ」「公助から自助へ」という流れが見られる中でも、メディア等で報じられるのはこれまでと同様に「何歳から年金を受取るのが得か」「どのくらいの年金を受け取れるのか」といった年金受給に関するものに留まっています。

現役世代の人達が「公助から自助へ」をめざし資産形成に動き出したなかで、年金受給に関する問題しか取り上げられないことには違和感を覚えます。

「年金2000万円不足問題」に敏感に反応して「公助から自助へ」と動き出したのは、年金保険料の支払総額の方が年金受給額を上回る可能性があるとされている1960年代生まれ以降の世代の人達です。公的年金が払い損になる可能性があるうえ、老後資金が2000万円も不足する可能性があることが示されたのですから、国頼みではいられなくなったとしても当然のことだといえます。

こうした公的年金に頼らずに自助努力によって老後資金を確保しようと動き出している現役世代にとって重要な情報は、「何歳から年金受給するのが得か」「どのくらいの年金を受け取れるのか」といった年金受給に関することよりも資産形成に関する情報であるはずですが、この点の情報は決定的に不足しているのが現実です。

巷に流されている資産形成に関する情報のほとんどは、iDeCoやNISAといった節税効果を謳った投資手段に関するものか、短期的な相場予想ばかりだといっても過言ではありません。さらに注意しなければならないことは、資産形成に関する情報のほとんどは金融商品を販売する業者が発信しているというところです。

金融商品を販売する銀行や証券会社などが開催する投資セミナーには、これまで投資とは縁のなかった「公助から自助へ」に動き出した人たちが知識と情報を求めて多数参加するようになりました。これから投資を始めようとする人達が証券会社などから情報を得ようとするのは当然のことかもしれませんが、公的年金に対する信頼を失い自力での資産形成を目指すと決めた人達が「公助から証券会社頼みへ」というのもおかしな構図だといえます。

こうした状況の恐ろしいことは、投資に慣れていない方の多くが金融商品を販売する人たちを先生と勘違いし、彼らが発する情報を鵜呑みにしてしまう可能性が高いことです。重要なことは、金融商品を販売する人たちは金融商品販売のプロであって資産形成のプロではなく、あくまで彼らの目的は金融商品を販売することだということです。

投資セミナーでは積立投資の効率性などが強調されているようです。確かに積立投資は魅力的な投資手法の一つかもしれません。しかし、積立投資は投資家よりも、金融商品を販売業者により魅力的である投資手法だということを忘れてはなりません。何しろこの先10年、20年と長期投資をしてくれる顧客を確保することが出来るのですから。

長期投資家の確保を優先するためなのか、資産形成の専門家ではないために気付いていないからなのか理由は定かではありませんが、投資セミナーで積立投資が持つ本質的なリスクについて触れられることはほとんどありません。「202X金融資産消滅」では、元ファンドマネージャーの立場から積立投資が持つ本質的なリスクについて解説しています。

さらに、「公助から自助へ」と向かおうとしている人達にとって極めて重要な、日本の株式市場は大きな転換点に立っていることが全く伝えられていないのです。それ何かというと、170兆円近い日本の公的年金資金積立金を管理運用し「市場のクジラ」と称される世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が早ければ2020年度から、遅くとも数年以内には株式市場の売手に転じることが確実視されていることです。

この20年間日本の投資家が目にして来た株式市場はGPIFが買手として参戦していた市場でした。しかし、こうした株式市場の構図が崩れようとしています。年金給付の財源は、これまで現役世代が負担する保険料と税金によって賄われてきました。しかし、高齢化の進展によって年金給付の財源を確保するためにGPIFの資産取崩しが始まろうとしているのです。恐ろしいことは、一旦売手に転じたGPIFは二度と買手に戻ることはないことです。なぜならGPIFは相場観に基づいて資産を売却するのではなく、年金給付の財源確保のために資産を売却するからです。つまり少子高齢化が進む限り、GPIFの資産売却は続く運命にあるのです。

GPIFの運用資産約170兆円が毎年5兆円ずつ年金給付の財源として使われるとしたら、その売りは34年続くことになります。GPIFの基本ポートフォリオで「国内株式」は25%を占めていますから、GPIFが毎年5兆円の資産の現金化に動くということは、毎年「国内株式」を1.25兆円売り続けるということでもあります。これから「公助から自助へ」を目指す人たちはGPIFが売手に転じることを想定したうえで資産形成を図らなければならない宿命を負っているのです。

こうした歴史上初めての大きな変化が起きる中で、GPIFが最大の買手として存在していた時代の投資手法を盲目的に取り入れることが賢明な選択なのでしょうか。株式市場の構図が根本的に変わる中では「投資の常識は非常識」になると考えておいた方が賢明のように思えてなりません。

今回上梓した「202X金融資産消滅」は、「公助から自助へ」と向かう現役世代の人達に最も重要な情報が提供されていないという危機感を覚えたからです。世界最大の機関投資家であるGPIFが株式市場の売の主役に転じる可能性が高いことを知らずに無防備に参戦していけば、「貰える年金も個人金融資産も減額される」というダブルパンチに見舞われるかもしれません。そうした悪夢に見舞われる前に、公的年金資金を管理運用するGPIFがこれまで金融市場でどのような役割を果たしてきたのか、そして今後どのような役割を果たしていくのかについて考えて頂きたいと思います。

長年資産運用業務に携わってきた者からの警鐘として「202X金融資産消滅」を読んで頂けたら幸いです。

「解」が存在しない問題に挑む増田元総務相

「かんぽ生命保険の不適切販売問題を受けて辞任する日本郵政の長門正貢社長の後任に増田寛也元総務相が就くことが固まった。2020年1月6日付で就任する。岩手県知事としての組織運営の経験や政府の郵政民営化委員長を務めた経験を生かし、40万人の社員を抱える巨大グループの立て直しをめざす」(26日付日経電子版 「増田氏、郵政社長就任へ 郵便は衣川氏、かんぽ千田氏」

増田元総務相が立派な人物で、県知事時代に「改革派」として知られ、行政手腕に定評があるあることは存じ上げているが、正直その増田氏をもってしても「巨大グループの立て直し」は出来ないだろう。

営業手法の見直しを優先すれば業績面での立て直しは困難だし、業績面での立て直しを優先すれば営業手法の見直しは進まない。

これはバブル崩壊以降、野村証券を中心とした大手証券が抱えてきたジレンマでもある。バブル崩壊から30年が経とうとしている今日でも、大手証券はフロー(手数料)とストック(資産残高)のどちらを収益の柱に置くべきかで揺れ動いている。それは、組織が巨大化すればするほどストックビジネスでの成長は難しいからだ。それは、御家人に与える恩賞が乏しくなることで衰退していった鎌倉幕府と同質のもの。

現実問題として証券分野でストックビジネスが成り立っているのは、独立系の投資信託会社くらいだといっても過言ではない。しかし、それはパフォーマンスは全て顧客持ちという環境が整ってから誕生したビジネスモデルである。

日本郵政は大手証券会社をはるかに凌ぐ「巨大グループ」であるうえ、貸出しが出来ない特殊な金融機関であるため金融商品の販売以外に成長エンジンを持っていない。

こうした金融機関としての特殊性に加え、「郵便」という公共性の高い事業を担わなければならないという企業グループとしての特殊性も持っている。

単純にいえば、自由主義経済の中を生き延びるのに必要な武器を持っていないだけでなく、足枷もはめられた日本郵政を上場企業にしたのがそもそもの間違いだったのだ。それは裸の人間に手錠をかけアフリカのサバンナやアマゾンのジャングルに放り出して生きろというくらい無謀なものだったのだ。

どんな企業でも上場、民営化すればいいという訳ではない。

「政府の郵政民営化委員長を務めた経験」を持つ増田元総務相が、どのようなアプローチで「巨大グループの立て直し」を図ろうとするのかは注目されるところ。何といっても日本郵政が抱えている問題は、数学的にいえば限りなく「不能(解がない)」に近いものなのだから。

個人的には、増田元総務相が導き出す可能性のある「解」は、日本郵政の非上場化というところではないかと想像している。懸念しているのは「政府の郵政民営化委員長」という肩書が、こうした「解」を導き出すうえでの障害になるだろうということ。増田元総務相が、県知事時代と同じ「改革派」であり、高い行政能力を持ち続けていることを期待せずにはいられない。

投信手数料低下=運用付加価値の低下

「公的年金だけに頼らず、自助努力による資産形成の重要性が増すなか、低コスト化は個人の長期投資を促すことにつながりそうだ」(18日付日経電子版 「投信運用手数料、下げ拡大 個人の長期投資促す」

本当に投資信託の信託報酬(運用手数料)が低下して来ていることが、長期投資を目指す顧客にとって喜ばしいことなのだろうか。

信託報酬の低下は運用に関する付加価値が下がって来ていることの証明でしかない。それゆえ信託報酬の低下は付加価値のある投資信託が減って来ていることの証であり、長期投資を目指す投資家にとって必ずしも喜ばしいことではない。

市場全体が下がればパフォーマンスも下がり、市場全体が上がっても市場全体のパフォーマンスに追いつけず、損益は「自己責任」と称して全て顧客に転嫁され、実際の投資判断は顧客がしている商品の何処に運用の付加価値を見出せばいいのだろうか。

運用会社がまともな信託報酬を取りたいのであれば、自らの運用の付加価値がどこにあるのかを考え直す必要がある。公募投信は現在6000本以上あるが、TOPIXに勝ったの負けたの言っているような商品は1本か2本あれば十分だ。

投資信託業界は自らの付加価値がどこにあるのかを見つめ直すべき時期に来ている。

グレタさんとグレタ君

「グレタさんは地球温暖化防止を求めて1人で「学校ストライキ」を始め、世界的な若者の運動の中心となった」(12日付日経電子版 「米誌タイム「今年の人」にグレタさん 最年少で選出」

45年ほど前、小生も一人で「学校ストライキ」をする「ぐれた」君だったので、この点においては彼女よりずっと先駆者である。

しかし、取り上げられたのは米誌タイムズの「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」ではなく、教師会での「素行に問題のある生徒」だった。これも地球環境の変化の一つなのだろうか。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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