20年ぶりに訪れたファンドマネジャーの「顔で売る」時代

「投資信託の運用担当者であるファンドマネジャーを前面に出し、個人投資家向けに投信をアピールする運用会社が現れた」(23日付日経電子版 「投信はファンドマネジャーの「顔で売る」時代に」

日本のメディアや投資家は2000年前後のネットバブルの時代を忘れてしまったのだろうか。ファンドマネージャーを前面に出した投信をアピールするのは何も初めてではない。

1990年代末に雨後の筍のように表れた「カリスマファンドマネージャー」達は、ネットバブルの崩壊と共に全員が消え、今では完全に忘れ去られた存在になっている。

公的年金と中央銀行がマーケットリスクを支える株式市場で、ベンチマークに勝つことが目標とする追加型投信の運用にどれほどの付加価値があるのだろうか。

本当に運用会社がファンドマネージャーの運用能力を前面に出すのであれば、追加型投信ではなく単位型投信で勝負してほしい。
運用に失敗してもビジネスとしては失敗しない追加型投信に拘り続ける限り、ファンドマネージャーを前面に出した商品も所詮は「運用商品」ではなく「販売商品」の域を出なくなってしまう。そしてファンドマネージャー達も10年後には忘れ去られた存在になってしまうだろう。
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財務省の増税太りを加速させる「消費増税の反動減対策」

「安倍晋三首相は20日の経済財政諮問会議で、2019年の消費増税や20年の東京五輪・パラリンピック後の需要の落ち込みに備える対策をつくるよう指示した」(20日付日経電子版 「消費増税の反動減に対策 首相が検討指示」

本末転倒ここに極まれりという感じでしょうか。

消費増税が景気にプラスだという出鱈目な論理を振り回す学者を重用しなくなっただけ総理も賢くなったとも言えなくもないが、消費増税が景気に悪影響を及ぼすのが分かっているならば、消費増税を凍結すればいいだけの話。景気に悪影響が及ぶことが分かっていながら消費増税とその反動減対策を指示するというのは、消費増税を集める時と、消費増税の反動減のための対策予算を配る時と二度政府(財務省)に甘い蜜を吸う機会を与えるということ。

総理には、消費増税とその対策を指示する前に、政府(財務省)の増税太りを防ぐためにも、世の中に先立って財務省の「働き方改革」を指示し、「歳入庁」と「財務省」を迫るくらいまで賢くなって貰いたいものだ。

「リスクの全体像を示す」以前にやっておくべきこと

「まず必要なのは金融当局がリスクの全体像を示し、世の中に知らせることだろう」(19日付日経電子版 「誰もがそれをやっていた 適温相場の幻想 市場踊る」

そうだろうか。

金融危機を防ぐために重要なことは、知りもしないリスク、理解も出来ないリスクに手を出す投資家を減らすことだ。

今回のVIX指数を利用した商品にしろ、世の中に情報はあふれており、自分が手を出そうとする商品がどのようなものでどのようなリスクを内包しているかは調べることは容易なのだから。

もしそれでも理解できない、分からないなら、その人はその商品への投資を止めなければならないという常識を持つことだ。

知らないリスクに手を出す投資家が多数存在する限り、金融当局がリスクの全体像を示したところで効果など期待すべくもない。ほとんどの人が当局が示す全体像を理解できないはずなのだから。

金融や資産運用に携わる専門家として最も罪深いことは、平気で誤った情報、正しいとは言えない情報を流すことだ。

【参考記事】「VIXベアETN」一晩で価値96%消滅 ~ 金融工学が生み出す陰

世界から嘲笑を浴びかねない日銀正副総裁人事 ~ 玉砕に向かう日本経済

「与党には人事案が国会の手続き前に表面化することへの反発があり、調整が難航する恐れもある」(16日付日経電子版 「黒田氏再任、16日にも提示 副総裁に雨宮・若田部氏案 与党内調整難航も」

そういう問題ではない。

「13年に就いた黒田氏を理事として支え、16年9月に導入した長短金利操作などの設計に関わった」人や、「(19年10月予定の)消費増税の負の影響を吸収して、物価(上昇率)が2%へ上がっていくほどの強力な緩和が必要だ」という過去の失敗を正見せずに「日銀が保有する国債の増加ペースを現在の年80兆円メドから年90兆円メドに引き上げることや購入資産の対象拡大などを提案している」という墓穴をさらに深く掘ることを主張する人が、本当に「出口」に向かわなければならない日銀の副総裁に相応しいかという問題だ。

国民に「痛みを伴う改革」を求める政府が、日銀正副総裁人事で「痛みを伴う改革」を先送りする姿勢を見せれば、世界は日本は「出口」に向かう意思を放棄し、玉砕することにしたと捉えるだろう。

例え「人事案が国会の手続き前に表面化することへの反発」というどうでもいい理由であったとしても、今回報道されている人事案が国会で否決され、異次元の金融緩和の「出口」が将来の日本経済にとって最後の「非常口」かもしれないという危機感をもった人に日銀を率いてもらえるようになることを願うばかりだ。

VIX指数清算値操作疑惑 ~ VIX指数先物は金融版「バベルの塔」

「米証券取引委員会(SEC)など米金融当局が、米株の変動性指数(VIX)先物の清算値算出で価格操作があった可能性を調査していることが明らかになった」(14日付日経電子版 「VIX先物の清算値に価格操作の疑い 当局が調査と米報道」

やはりと思うのと同時に、「恐怖指数」と呼ばれる理由がようやく理解できた。

そもそも「恐怖指数」という呼び方は必ずしも正しくない。専門的な説明は省略するが、VIXを急上昇させる原動力は「予想変動率」ではなく「足元の恐怖度」でしかないからだ。

VIXなどの市場動向を読み解く上での貴重なインディケータではあるが、投資対象として必要なものではない。そして貴重なインディケーターであっても、金融商品化された瞬間に市場のリスク要因になってしまうのが恐ろしいところ。今回の疑惑は、こうした指数を安易に金融商品化してはいけないということを伝えるための警鐘だともいえる。

金融工学の発展で、何でも金融商品化出来てしまうようになっているところが現在の金融市場が内包するリスクでもある。金融工学の発展がもたらしたのは必ずしも投資手法の高度化だけではない。それ以上に金融工学は胴元が損失を被る可能性が低く、金融リテラシーが高くない投資家受けする投資商品を生み出すことを可能にしているというのが現実である。「自己責任原則」という追い風を受けて。

金融工学など科学は進歩しても、人間の心は未だに2000年以上前に誕生した宗教に頼っていることからも明らかなように科学のように進歩はしない。人間の心が科学技術のように進歩、蓄積できるものであるのなら、この世にはキリストや釈迦を超えるような立派な人間で溢れているはずだ。

進歩しない人間が、進歩する技術を正しく理性的にコントロールしていくことは事実上不可能だ。金融業界の人間には、神の力を借りてでも、金融商品化していいものといけないものを区別していく判断力と理性と謙虚さは持ってもらいたいものだ。

「VIX指数先物」であるとか、「VIXベアETN」といったものは、金融版「バベルの塔」だともいえる。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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