「円独歩高」と「株安」~日程に振り回された一日

3月決算企業の株主総会がピークを迎えた29日の株式市場は、後場に入り地合いが悪化、日経平均株価は約2週間半ぶりに9,500円台まで下落した。株価の下落の要因となったのが、上海株の下落と為替市場で進んだ円高。

為替市場で円は主要16通貨に対して独歩高、対ドルでは約2か月ぶりの88円台、対ユーロでも約8年7カ月ぶりの高値となる1ユーロ=107円台まで上昇した。急速な円高の要因として、識者の多くは欧米の景気回復に懐疑的な見方が広がって来たことや日米金利差縮小を挙げて解説しているようである。だが、日本を含めて世界経済の回復足取りが力強さに欠けるものであることは今日分かった訳ではないし、縮まって来たのは長期金利の金利差であり、短期の金利差は殆ど変っておらず、これらを今日の「円独歩高」の犯人の仕立て上げるには少しムリがある。勿論こうした要因が垂れこむ中、今日の為替市場の動きは、識者には理解しがたい日程的な要因が多分に影響したと考えた方が納得が行く。

その一つが、本日の日本経済新聞の「底流~ユーロ安、引き金握る日本企業」という記事でも紹介されている日本企業のユーロ売りである。これは今日が株主総会のピーク日であったこととも重なるものだ。

2つ目が、欧州中央銀行(ECB)が昨年夏に実施した、一度に提供した流動性としては過去最高額4,420億ユーロとなる12カ月固定金利レポ(売り戻し条件付き買いオペ)が、7月1日に期限を迎える事。ECBは既に1年物と6カ月物についてこの無制限の資金供給の停止を決めており、一部銀行は資金調達に窮しているとも言われている。

世界経済のこうした日程的な要因に伴う需給の歪みが「ユーロ独歩安」ではなく「円独歩高」を演出した立役者だったと認識する方が現実的だ。

為替市場で日程的な需給の歪みが「円独歩高」を演出したのと同様に、株式市場でも需給の歪みが株価下落の要因となっている。その筆頭が最近の上海株式市場の重石となっていた中国四大商業銀行のトリを飾る中国農業銀行のIPO。中国四大商業銀行の中で最も内容が悪いと言われるものの、調達額は最大2兆円に及ぶ世界最大規模になる可能性がある。
国内では先週末発表されたみずほフィナンシャルグループの60億株、8,000億円の普通株での公募増資。
さらには米国では規模は200億円程度と少額ながら、新興の電気自動車メーカー、米テスラ・モーターズが米自動車メーカーのとしては1956年のフォード・モーター以来のIPOを実施。同社は2003年7月の設立以来、四半期決算で一貫して赤字を計上している。

不良債権処理など財務内容の改善を目的とした日中の大手銀行の資金調達と、夢はあるものの設立以来一貫して赤字を計上し続けているメーカーのIPO。為替市場で日程的な需給の歪みによる「円独歩高」と、株式市場での大規模な資金調達。6月29日の金融市場は、「日程的な需給の歪み」に振り回される一日となった。


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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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