4番目じゃダメなんですか?

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、「財政赤字が今後数年にわたって高止まりする」ことを理由に日本の長期国債の格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げた。同社による日本国債の格下げは2002年4月以来、8年9カ月ぶり。「AA-」は上から4番目。財政不安に揺れるスペイン(AA)を下回り、中国、サウジアラビア、台湾などと同じ水準だ。
この報道に関する菅首相の第一声は「そういうことに疎いんで…」というお得意のとんでも発言。これに対して与謝野経済財政担当相は「改革をスケジュール通りにキチンと進めてくれという市場の声」と、持論の消費税引き上げを正当化する材料にしようという意図が見え見えの発言。

確かに日本格下げ発表直後の金融市場の反応は、「円安」「長期金利上昇」というものだった。しかし、こうした反応は一時的なものだった。28日の東京市場では、83円台まで売られた円はあっと言う間に1円程上昇して再び82円台前半へ、長期金利も4bp低下して格下げ発表前の水準に戻ってしまった。こうした金融市場の反応を見る限り、「市場の声」を「財政再建を急げ」というものだと決めつけるのは余りにも偏ったものの見方。

日本の国債の外国人保有割合は5%前後であり、格付け機関の格下げの影響など長期金利に殆ど出ないことは市場関係者の間では周知のこと。そうした中での今回のS&Pによる日本の格下げからは、昨年の欧州財政危機における対応の拙さによって低下した信頼をさらに失う訳には行かない、という格付け会社の焦りを感じてしまう。
昨年の欧州財政危機においては、格付け会社はマーケットを追いかける「後追い格下げ」を繰り返し、金融市場の混乱に拍車を掛ける格好になった。こうした恥ずかしい「後追い格下げ」に追い込まれることを避けるために日本の格下げに踏み切ったのではないか。サブプライム問題で1段階どころか12段階位の「後追い格下げ」に追い込まれ、市場の信頼を失いかけた経験がある格付け会社が、欧州でも、日本でも「後追い格下げ」に追い込まれたのでは存在意義自体が疑われてしまうからだ。

金融市場は格付け会社による日本国債の格下げには大きくは反応しないはずである。考えられる影響は、日本国債を大量に抱える国内の金融機関が、格下げによって引当金積み増しを迫られ、収益を圧迫されるという見通しから、銀行株が売られるという間接的なもの。

そして、格付け会社の各付けに関わらず、日本の長期金利水準は上限が決まっていると考えた方が良い。それは、国債の金利が年金の期待運用利回りに近い3%に近付いたら、日本の年金基金の多くがこぞって株式等のリスク資産を売却し、国債に資金をシフトさせる可能性が高いからだ。勿論この際には「株価の大幅な下落」と「円高」とセットになる。

それにしても、世界の外貨準備高のトップ5のうちロシアを除いた中国とサウジアラビア、日本、台湾の4国全てを、欧州各国がスクラムを組んで必死に支えているスペインより低く格付けしているところが格付け機関の面白いところ。この4カ国だけで世界の外貨準備高の約54%を保有(2009年末)している。
こうしたところを見ても、格付け機関の「格下げ」に殊更過剰に反応する必要は無い。何しろ上から4番目とはいえ「世界第2位の経済大国」と同列に格付けされているのだから。




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近藤駿介

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