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「政情不安」に揺れる「長期独裁国家」と、「政局不安」に揺れる「短期寄合所帯政権」

かつて「アラブの狂犬」と称されたリビアのカダフィ大佐が本性を現した。自国民に無差別に銃を向けたその行動は、1989年の天安門事件を思い出させる光景であった。カダフィ大佐はテレビを通じて「血の最後の一滴まで戦う」という強硬姿勢を見せたが、以前から複数の影武者の存在が明らかになっていることを思い出すと、テレビで熱弁をふるった人物が本当にカダフィ大佐であるかは定かではない。カダフィ大佐の側近も離脱し始めていることを考えると、カダフィ政権の崩壊は時間の問題のようだ。

世界第8位の埋蔵量を誇るアフリカ最大の産油国に拡がった中東危機による原油価格の急騰を受け、一次産品を中心としたインフレを懸念して来た金融市場は、株価下落、金利低下というリスク回避反応。世界中が気にかけているのは、中東の政情不安が世界最大の産油国サウジアラビアと、世界第二位の経済大国中国に拡がるか否かという点である。この点に関して、金融市場はリスクを高く見積もり過ぎている可能性もある。

中東の政情不安のキーワードは、「長期独裁」と「宗教」である。これに「反米」というキーワードが加わらない間は、増産余力があるとされる親米国サウジアラビアに政情不安が波及せず、原油価格の上昇も長期化しない可能性が高い。

また、折に触れ「格差」と「共産党一党独裁」が指摘され、天安門事件で自国民に銃を向けた経験があるが故にリビア情勢からの連想を生む中国は、少なくとも「宗教」対立という要素が極めて少ない。日本のメディアは中国がネット規制を敷き情報統制を務めていることを大々的に報じているが、香港の知人から聞いた限りでは、「ロイターニュースなどは、中国語版は見られないが、日本語版、英語版共に普通に見られる」ということで、当局が厳しい情報統制をしているとは思えない。
日本が高度成長期に激しい学生運動を経験しつつも「体制」を維持して来た例を考えても、多くの人間が「中流」を目指す活力にあふれる国で、「体制打破」が主流になる可能性は懸念する程高くは無いのではないか。

政情不安がサウジアラビアや中国に波及する可能性を高く見積もり過ぎていたことを市場が気付けば、石油価格を始め、市場は落ち着きを取り戻すはずである。過去の経験則から言えることは、今回の中東政情不安の様に、ほぼ全員が悪材料と認める様な出来事に対する市場の反応は、意外と短期間で終焉するものだ、ということである。

金融市場が国民の支持を失った「長期独裁国家」の政情不安を懸念する中、国民の支持を失った「短期寄合所帯政権」を抱える日本では政局不安が日々高まって来ている。16人の「先遣隊」に続いて政務官が辞表を提出する構図は、側近が政権離脱する等内部崩壊が始まっているリビアを彷彿させるものだ。民主党という狭い分野で「独裁」を強める菅政権も、内部崩壊を始めている。

中東の政情不安に注目が集まる中、気に掛るのは、欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、ルクセンブルク中銀のメルシュ総裁が、インフレ抑制のために利上げの準備ができている可能性を示唆したこと。 
メルシュ総裁は21日のルクセンブルクでのインタビューで、「物価安定のリスクが上向きにあると大半のメンバーが判断しても驚かないだろう」と言明。景気の勢いが強まり、インフレ率がECBの2%弱の目安を上回っていることから、時期的なめどには言及しなかったものの「金融政策スタンスの再調整」が必要となるのは必至だと発言した。この発言もあり欧州債市場ではドイツ2年債相場が下落(金利上昇)。先進国が繰り広げて来た「過剰流動性競争」も、曲がり角に差し掛かりつつある様だ。





近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

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著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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