「リビア問題」によってすり替わったものと、影に隠れたもの

中東・北アフリカの情勢の混乱拡大への警戒を背景に円相場が対ドル、ユーロで約3週間ぶりの円高水準を付けたほか、原油価格高止まりへの懸念が根強く残る中、月末を迎えた週明けの株式市場は底堅い展開となった。日経平均株価は前場こそ売り優勢で下落したものの、アジア株が堅調に推移したことで買い安心感が広がったこともあり、結局97円高の10,624円で月内の取引を終えた。

混乱拡大が懸念される中東・北アフリカ情勢の影響が今のところ原油市場に限定されているのは、地域的な広がりが見られないこと。チュニジアから始まった中東・北アフリカ地域の「民主化運動」が、幸か不幸か「アラブの狂犬」と称されるカダフィ大佐率いる世界第8位の埋蔵量を誇るアフリカ最大の産油国に飛び火したことで、問題が「民主化運動」から「リビア問題」という個別の問題にすり替わり、結果として金融市場の抱いていた地域的な拡散懸念が薄まってしまった格好。

「リビア問題」の影に隠れてしまったが、先週末に米国の昨年第4四半期のGDP改訂値(季節調整済み)が発表された。改定値は年率換算で前期比2.8%増と、政府調達や個人消費支出の伸びが下方修正されたことを受け速報値の3.2%増から下方修正された。一見米国経済の回復力に力強さが欠けることを示唆するものだが、中身は必ずしもそうではない。確かに個人消費支出は4.1%増と速報値は4.4%増から下方修正だったが、第3四半期の2.4%増から伸びは加速し2006年第4四半期以来の高い伸びとなった。また、民間設備投資も5.3%増と、速報値の4.4%増から上方修正されている。

なかでも注目されるのは、在庫と価格指数。まず、第3四半期に1,214億ドルだった在庫投資は、71億ドルと、速報値の72億ドルから更に下方修正され、第4四半期の在庫のGDPに対する寄与度は1988年以来の最大の3.7ポイントのマイナスとなった。在庫投資の大幅な下落は、個人消費が堅調である(第3四半期の在庫投資が「意図した在庫」であった)こと、企業のインフレ期待がそれ程高くないことを示唆すると同時に、在庫が直ぐには米国景気の重石にならない可能性を示したもの。
一方、全体の個人消費支出(PCE)価格指数は1.8%上昇と、前期の0.8%上昇から加速し、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが長期的な同指数の予測値として提示している1.6-2.0%上昇のレンジに入って来た。これはデフレ懸念を理由に、過剰流動性を供給することが難しくなったことを示したもの。

一見力強さに欠ける様に見える米国のGDP統計だったが、その中身は、ロイターが伝えている様に「FRBが、現在実施している6,000億ドルの国債買い入れプログラムを予定通り完了させるとの見方を裏付ける内容」であったことを見過ごしてはならない。




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