「節電啓発担当大臣」兼「発電啓発担当大臣」を命ず

菅首相が、東日本大震災発生2週間に当って発表した「国民へのメッセージ」のマスコミ各紙の扱いは、信じ難いほど小さなものだった。戦後最大の日本の危機に対して、国家元首である首相が発した「国民へのメッセージ」であれば、本来なら一面トップを飾ってもおかしくないもの。しかし、内容が余りにも無かったせいか、日本経済新聞でも1面の片隅、一般紙では5~6面の一部と、殆どアリバイ工作で掲載した程度の扱いであった。さらには、わざわざ、東工大出身で「原子力には詳しい」と自負していた首相が、面会した有識者に「臨界って何だ」と質問し、唖然とさせたというエピソード付きで報道したところにも、マスコミ各紙の「国民へのメッセージ」に対する評価が滲み出ている。マスコミ各紙の判断は、菅首相が発した「国民へのメッセージ」は、「知識の乏しい政治家」が発した「国民に伝える必要性に乏しいもの」というものだったようだ。

政治的なリーダーシップが期待出来ない中でも、国内外から「日本は必ず復興出来る」という声が上がっている。現実問題として日本復興のボトルネックになるのが「電力」である。「電力」の問題は、被災地だけの問題ではない。被災地が復興する為には、首都圏や関西圏を筆頭に被災地以外の経済が堅調さを保つことが必要不可欠である。特に首都圏は、地震の直接的な被害は少なかったものの、福島第一原子力発電所の被災による電力不足の影響で「計画停電」に追い込まれ、経済活動が大きな打撃を受けている。被災地の経済復興を成し遂げる為にも、一日も早く「電力不足」を解消し、首都圏の経済活動に支障を来さない様な政策が求められている。

「電力不足」を解消する為には、「供給」を増やすか、「需要」を抑制するしかない。しかし、東日本と西日本で周波数が異なるという目に見えない障壁などもあり、「供給」を増やすことは一朝一夕に出来ることではない。

こうした中で注目されるのは、住宅用太陽光発電である。住宅用太陽光発電の補助金に関しては、昨年12月の事業仕分けにおいて、「電力買い取り制度の推進、システム価格の低下、地方公共団体による補助の拡充を総合勘案し、20%を目途として、予算要求の圧縮を図る。その際、将来的に完全な全量買取制度の支援へと集中させていく『出口戦略』を明確化する」という曖昧な理由で、22年度予算額の429億円が、23年度では349億円へと約20%削減という結論が出されている。

こうした決定は、電力供給が安定的に行われることを前提としたもので、現在の様に電力不足を前提にしたものではない。22年度の予算請求額429億円は、問題視されている子供手当の2兆2500億円(支給額月額13,000円)の僅か2%程度である。

住宅用太陽光発電の普及のネックになっているのが、200万円前後という初期費用の高さと、投資回収期間が約15年と長期に渡ることである。但し、この約15年という投資回収期間は電力会社が1kwh当り48円で10年間継続して買取ることを想定した計算であり、買取価格を倍の96円/kwhとすれば、単純に言えばその期間は半分の約7~8年となる。
東京電力の買取総額実績は2009年11月~12月の2カ月の実績で約160億円、年間に換算すると約1,000億円である。ただ、約160億円の内約60億円は「回避可能費用」(東京電力が買電することで圧縮される発電コスト)であり、実質的な買電コストは2カ月で約100億円、年間で約600億円である。
単純に言えば、(国か東京電力が)600億円の予算をつけてやれば買取単価を倍に出来るし、住宅用太陽光発電の補助金を400億円に積み増して800億円にすれば、400億円の補助金だった平成21年度の13万4000戸という支給実績に基づけば26万戸の新規設置が想定出来る状況なのである。

住宅向太陽光発電システムは、200万円強の初期投資が必要であるが、政府が1,000億円程の支出を出しさえすれば、概算で年間10億kwhの電力を生み出すことが出来る(1戸当り発電量を年間4,200kwhと仮定)可能性がある。また、太陽光発電システムを設置することが被災地の復興に役立ち、首都圏の「計画停電」地獄からの脱出の一助になるのであれば、この初期投資は安いものだと思う人が多数出て来るのではないか。
住宅向太陽光発電で生み出される約10億kwhは、東京電力管内の総需要電力3,022億kwhに比較すると僅かに0.33%程度で、発電所建設に比較するとコストパフォーマンスは決して良くはない。ただ、今必要なのは「短期間で電力不足を解消させる」ことである。完工まで何年も掛かる大規模な発電所よりも、短期間で電力を生み出せる住宅用太陽光発電は、フットワークの面では新たな発電所を建設するよりも数段有効である。今すぐに実施すれば、夏の電力需要最盛期に間に合うかもしれない。

少子化日本を脱する為に子供手当は必要不可欠なものかもしれない。しかし、被災地及の復興及び日本経済復活の為に「事業仕分け」の結果を再度見直し、2兆2,500億円規模の予算の一部、1,000億円程度を住宅向太陽光発電の補助金積み増し及び買電価格の引き上げに廻すべきではないだろうか。
「節電啓発」も大切だが、「電力不足」がボトルネックとなっている今日では、「発電啓発」も同じ位重要である。「節電啓発担当大臣」には、自らが行った「事業仕分け」の結論を撤回し、「事業仕分け」の際に見せた倍のパフォーマンスで「発電啓発」にも力を発揮する勇気を持って頂きたいものだ。




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