原子力と同様の構図~「御用学者」によって布教が進められる「財政原理主義」

菅首相の一連の辞任騒動のどさくさに紛れているが、「増税内閣」という菅内閣の本性が徐々に剥き出しになりつつあるようだ。菅首相は27日の記者会見で自らの進退について、第2次補正予算と再生可能エネルギー特別措置法、公債特例法が「ひとつのめどになると考えている」と述べ、退陣はこれら3法案の可決、成立が前提との考えを示した。これによって否が応でもこれら3法案の行方に注目が集まって来ているが、「増税内閣」が御執心なのは、条件闘争に挙げた3法案よりも「増税」の方かもしれない。

民主党は29日、社会保障と税の抜本改革調査会・税制改正プロジェクトチーム合同総会を開き、政府の社会保障・税一体改革案への対応を執行部に一任することを了承した。これによって、焦点の消費税引き上げについては、経済状況の好転を前提条件に「2010年代半ばごろまでに段階的におおむね10%まで引き上げる」とするよう政府に申し入れることが事実上決定した。

執行部一任を取り付けるために、仙谷代表代行は「経済状況の好転なしに増税の追い打ちをかけることは許さないことを担保していく」との条件を付け足した。しかし、与謝野経済財政相や野田財務相ら生粋の「財政原理主義者」は、消費税引き上げ時期について「2015年度まで」とした明確な表記を堅持する方針を崩しておらず、「詐欺師」と「ペテン師」が跋扈している政府・与党間での協議で、「経済状況の好転なしに増税の追い打ちをかけることは許さないことを担保していく」といった口約束が守られる保証は何処にもないのが現実だ。

それにしても日本の有権者は「増税」に寛容だ。先日実施された日本経済新聞の世論調査でも、社会保障の財源確保を目的とした、2015年度までに段階的に10%まで引き上げる政府案に対して、「賛成」は44%、「反対」は48%と拮抗した結果となっており、これまでの与野党の垣根を越えた洗脳活動によって「増税」に対する理解がかなり進んでいることが示されている。
「財政破綻」という潜在的脅迫心を煽る形で、マスコミを通して、「有識者」によって、連日、「増税による財政再建」の正当性を繰り返し続けるという「サブミナル効果」によって、一般有権者はこれが日本の将来を救う唯一の解決策だと信じ込まされてしまっているようだ。

しかし、こうした情報が正しいのか、改めて考えるべき時に来ている。今回の原発事故によって露呈して来たことは、政府や電力会社はもとより、彼らに抱えられた「御用学者」によって、多くの有権者が「原子力発電は安全である」と信じ込まされてしまって来たことだ。
見落としてはならないことは、こうした「御用学者」を介した洗脳活動は原子力発電にだけ行われている訳ではなく、「増税による財政再建」という「財政原理主義」の教義の普及にも同様の手法がとられているということだ。財務省に代わってマスコミで「財政原理主義」の普及を図る「有識者」や「御用学者」「エコノミスト」と称される人達の中には、「元日本銀行」といった肩書きを持つ人は少なくない。そうでなくても、財務省や日銀からの「情報」が不可欠である彼らは、その面ではほぼ全員が財務省や日銀のステークホルダーであるといっても過言ではない。

原子力発電所の安全性に関しては、「御用学者」達の権威によって、多くの重要な事実が隠蔽、歪められて来た。その結果の悲惨さを日本国民は身を以て経験しているところである。
こうした悲劇を繰り返さない為にも、「御用学者」によって繰り返される「財政原理主義」を盲目的に信じるのではなく、セカンドオピニオンに耳を傾ける勇気を持つ必要がある。少なくとも有権者に浸透しているサブミナル効果が剥げ落ち客観的な判断が可能になるまで、「死に体内閣」による、どさくさ紛れの増税論議は先送りさせなくてはならない。




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近藤駿介

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