FC2ブログ

「なるほど」と笑えるヤジも、「なるほど」と思える質疑もない「増税国会」

28日の参院予算委員会の質疑では、政府側の答弁に自民党など野党が激しいヤジを浴びせ、石井一委員長が「この委員会はやかましい。ヤジを禁止しているわけではないが、『なるほど』と笑いの起こるようなヤジにしてほしい」と異例の注文する一幕があった。

日本の国会のヤジは確かに聞くに堪えないような品のないものが多いが、ヤジに「なるほど」と思わせる内容を求める前に、国会質疑に「なるほど」と思わせる内容を求めるべきである。

28日の国会も「なるほど」とは思えない「首を傾げるような発言」のオンパレードだった。

野田首相は2011年度第3次補正予算案と東日本大震災の復興財源のための臨時増税案について「与野党が事前に合意しながら、なるべく早く成立させる」と述べ、国会提出前の与野党協議の開催を呼びかけた。

解散総選挙という国民の審判を経ずに与党内の力学で選出されただけの野田首相は、臨時増税案も国会外で事を進めようとしているようだ。有権者が全く参加出来ない形で選出された野田首相が、増税議論も有権者の目が届かず、ヤジも飛び交うことのない国会外で決めてしまうおうとする発言には首を傾げずにはいられない。首相の野党に事前協議を呼びかけるの姿勢は「野党に対する謙虚な姿勢」として称賛されるものではなく、「国民に対する詐欺的行為」として非難されるべきものである。

また、野田首相は、東日本大震災の復興財源に充てる臨時増税について「復興事業(の費用)が膨らむのも当然ある。事業規模が上積みになっても税負担が増えるとは必ずしも言えないが、可能性はある」と述べ、復興の需要が増せば政府・民主党が27日に決めた臨時増税額9.2兆円が拡大することもあり得るとの認識を示した。

復興事業の内容も決めずに財源だけを増税で賄うことを決めたことの危うさが、早くも見え始めている。増税さえ決めてしまえば、後は「復興事業」の範囲を拡大解釈すれば増税額は幾らでも増やすことは可能だし、「臨時増税」もヤジの飛ばない国会外で「恒久減税」に変えてしまえば良いだけのこと。
実際に民主党税制調査会の古本事務局長は27日の総会後、記者団に対し「たばこ税の減税は聞いたことがない。(臨時増税期間後の減税は)ないと思う」と述べ、12年10月から実施するたばこ税の臨時増税を恒久化する可能性を明言しており、「臨時」が「恒久」に変わるのは時間の問題。こうした「姑息な増税議論」が「責任ある議論」だとでも言われても、とても「なるほど」とは思えない。

さらに野田首相は、消費増税による財政再建について「必ずしも増税したから経済がどうだと言えないところがある」と指摘。2010年代半ばまでに段階的に10%に引き上げるとした消費増税の時期も景気動向に縛られない考えを示唆した。

「必ずしも増税したから経済がどうだと言えないところがある」という発言は、「増税」が経済にプラスに働く可能性があると考えている証左。現在のようにデフレに苦しむ日本で、「増税」が経済にプラスの影響を与えることが有り得るのだと考えているとしたら狂気の沙汰である。もし、前財務相の野田首相が、「デフレ経済下での増税が経済にプラスに働く」可能性があると考えているのであれば、「なるほど」と思えるようなロジックを国民に示すべきである。

「首を傾げるような発言」をしたのは日銀総裁も同じ。日銀の白川総裁は28日午後の参院予算委員会で、8月の金融政策決定会合で「円高あるいは世界経済の不確実性の増大、景気の下振れリスクに対して、思い切った金融緩和の強化を図った」と述べた。さらには現行の日銀による市場からの国債買い入れ額について、年間約22兆円と対GDP比で「あの米連邦準備理事会(FRB)のQE2(量的緩和第2弾)の国債の買い入れ金額の比率より上回っている」と強調した。

日銀が「思い切った金融緩和の強化を図った」か否かではなく、「効果の有無」が問題だという根本的なことを、日銀総裁は理解していないようだ。

「インフレ」と「雇用」に責務を負っているFRBが、「雇用回復」に即効性のある有効な政策がないにも拘わらず、「雇用回復」という「効果」を求めて「まだ打つ手がある」として効果が定かでない様々な政策を打ち出しているのとは大きな違いである。

また、日銀総裁は量的緩和を拒む根拠として「国債買い入れ額のGDP比」などという意味不明の数値を振りかざしているが、これがどのような意味を持っているのか「なるほど」と思えるような説明をするべきである。「なるほど」と思える説明が出来ないのであれば、直ちに日銀は「思い切った金融緩和の強化」を図るべきである。

財政原理主義内閣は、「復興」という誰もが反対出来ない錦の御旗を立てるという姑息な戦略で「増税に寛容な世論」を喚起し、「増税のフリーハンド」を得ることに成功した。これによって、国民は、増税翼賛会と化した政府と野党による、既成事実化された増税幅を圧縮するためにどれだけ努力をしたかという、「なるほど」と笑いが起きるようなヤジでもなければとても見ていられない「臭い芝居」を見せ続けられることになってしまった。「臭い芝居」を見る代金として「増税に寛容な世論」は余りにも高過ぎる出費である。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

近藤駿介 Official Site

各種お知らせ等はこちらから

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR