2012/01/30
説明がコロコロ変わる「社会保障と税の一体改革」~絶対に政権を任せてはいけない人
「いま試算を出すと社会保障と税の一体改革の議論に集中できなくなる」民主党の「言うだけ番長」は29日、政府・民主三役会議が、最低保障年金を柱とした新年金制度に必要な財源の試算を、当面公表しないことを決定した理由についてこう述べた。
さらに樽床幹事長代理は「社会保障と税の一体改革と試算は別物だとの認識は共有した」と、輿石幹事長も「2015年10月に消費税率が10%に上がって、また2~3年後に年金で6~7%上がるかのように受け止められる」と発言。
民主党は09年衆院選のマニフェストで掲げた「年金制度の一元化と最低保障年金の実現」と、現在野田総理が「不退転の決意」で「政治生命を賭けて」推し進めている「社会保障と税の一体改革」が別物であると主張し始めた。
これは完全なペテンである。
昨年12月4日に首相新聞の掲載された「すべての国民の皆さまへ ──社会保障と税の一体改革について── 安心を支え合う制度をゆるぎないものへ。小島さん、何でもお尋ねください。」という野田総理と小島慶子氏の全面広告のなかで、野田総理はこう発言している。
「年金については、どんな職業でも、所得に応じてきちっと保険料を納めた人には、それに見合った給付がされるという《所得比例》の考え方も必要です。自営業者もサラリーマンも公務員も一元化していく、公平感のある制度。更に、老後暮らしていくのに必要な最低限の分は確保できるという制度設計、つまり《最低保障機能の強化》を目指します」。
すべての国民の皆さまへー社会保障と税の一体改革について
つまり、この記事の中で野田総理は「社会保障と税の一体改革」には、「年金の一体化」「最低保障年金」が含まれていると明言しているのである。
にもかかわらず、29日になって「社会保障と税の一体改革と試算は別物」と「君子豹変」したということは、野田総理が「不退転の決意」で「政治生命を賭けて」推し進めている「社会保障と税の一体改革」というのは、「改革」という名を借りた、単なる「増税」に過ぎないということ。
政府のお得意のフレーズに、「日本の財政を家計に例えたら」というのがある。
「家計」が「資金調達(借金)」をしようとした場合の原則は「使途を明確にする」ことである。「使途」を明確にしない、出来ない資金調達に応じる投資家(金融機関)はまず存在しない。ましてや、聞かれる度に「使途」の説明が異なったり、変更したりする人は、金融の世界では「絶対にお金を貸してはいけない人」に分類され、気前よくお金を出すような金融機関などこの世に存在しない。
野田内閣のやり方は、「家計に例えたら」とても資金調達など出来ないものである。「不退転の決意」で「政治生命を賭けて」推し進めている「社会保障と税の一体改革」に関する説明が、毎回異なっているということは、野田総理は「絶対に政権を任せてはいけない人」であることの証明である。