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「政界のAIJ」、「政界の浅川」が招く政党政治の危機

30日に消費増税関連法案を国会に提出したことを受け、野田総理が記者会見に臨んだ。その内容は、悪い冗談を通り越し、政党政治の危機を感じさせるものであった。

「一昨年の末に社会保障と税の一体改革を検討する本部を立ち上げまして、約半年間にわたって議論をし、昨年の6月に成案を政府与党として決定をいたしました。その成案を具体的に進めていくこと、それを踏まえた法案を提出することを昨年の8月の末の民主党代表選挙において、私は力強く公約として掲げさせて頂きました。それを踏まえて年末年始にわたりまして党内で闊達な議論を経て素案を作り、そして大綱として閣議決定をしてまいりました」

野田総理はこれまでの経緯についてこのように述べ、正当な党内手続きを経て「丁寧な議論」をして来たことを強調した。30日付の日本経済新聞が「28日に決着した民主党の消費増税関連法案を巡る協議は8日間、46時間に及んだ」と報じているように、「消費増税原理主義者」は、「議論時間」を「丁寧な議論」の物差しにしている。しかし、これは間違いである。

「結論ありきの議論」にいくら時間をかけても、「丁寧な議論」にはならない。0に何を掛けても0なのだ。

記者会見で「年度内に法案を提出するという一応時期を決めておりましたので、その時期を踏まえてまさに集大成の時期に結論を出して頂いた」と自ら認めている通り、今回議論は「結論ありきの議論」であり、「丁寧な議論」ではない。

議論のあり方についての詭弁以上に恐ろしいのは、「8月の末の民主党代表選挙において、(消費増税を)私は力強く公約として掲げさせて頂きました」と言い放つ政治家としての神経。

消費増税を謳っていないマニフェストを掲げて政権の座に就いた政党の代表が、自らが代表選挙でマニフェストに書かれていない消費増税を「力強く公約に掲げた」ことを理由に、消費増税を「国家国民のために避けて通れない、先送りのできないこの課題」として正当化してしまうということは、あってはならないことである。虚偽のマニフェストを掲げた政党が、政権を取った後に、党内政局で政策を自由に変えることが許されるのであれば、政党政治が成り立たないからである。

虚偽のマニフェストを掲げる今の民主党政権は、差し詰め「政界のAIJ」。そして、詭弁を繰り返す野田総理は「政界の浅川」である。

政党政治の危機を感じさせるもう一つの出来事は、消費増税関連法案に代表が反対し連立を解消する意向を伝えた国民新党の金融相が、通常通り閣議に出席し、「国民新党の副代表として(法案に)サインした」こと。2007年7月の参議院議員選挙で国民新党の比例代表枠で当選した大臣が、党の意向から外れるような行動をとったのでは、政党政治、比例代表選挙は成り立たない。

日本のマスコミは消費増税関連法案に反対する議員に対して「小沢元代表に近い」という週刊誌的なレッテルを貼って報じているが、本来ならば「小沢元代表に近い」ではなく、「マニフェスト堅守」とか「民意に近い」というレッテルであるはずである。また、政治的な公平を保つのであれば、消費増税積極派の議員に対して「マニフェストを反故にする」というレッテルをはるべきである。

「政治生命をかけるというのは文字通りに受け止めて頂きたいと思います。その解釈を云々するのは野暮じゃありませんか。ただ政治生命を賭けるといったことは事実、賭けています。どうするかは私の胸三寸であります。しかも(消費増税関連法案が)通らなかったという、悲観的なたらればについて今私は想定しておりません」

政党政治を軽視する野田総理は、記者会見をこのように言葉で締めくくった。

「政治生命を賭けています」という一方で、「その解釈を云々するのは野暮だ」とし、どうするかは「私の胸三寸だ」と言い放つ野田総理。要するに、国民が想像するような責任の取り方をするとは限らないということ。自らの中身のないキャッチフレーズに酔い続けている野田総理。「丁寧な説明」どころか、国民をなめたような「でたらめな説明」を繰り返し、政治への信頼を喪失させている総理大臣の存在ことこそが、将来の世代に大きなツケを残す最大の要因であることをまず自覚すべきである。

野田総理にとって「想定外」である、消費増税関連法案の不成立は日本の将来のリスクにはならないから構わないが、多くの国民にとって「想定内」の出来事でしかない消費増税によって「将来の世代に大きなツケ」が残った場合、それを「想定外の出来事」と開き直ることは許されない。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

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著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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