2012/08/29
問責決議可決~「政局よりも大局」という無意味な言葉が招いた「政局による国会空転」による「何も決められない状況」
「小異にこだわっていたら、大きな目的は達成できない」自民党の谷垣総裁は、公明党と共同提出した問責案の採決を断念し、「消費増税法を自民、公明両党と修正合意して成立させた首相を批判した上で、『国民への約束、国民の声に背く政治姿勢を取り続ける野田首相の政治責任は極めて重大である』」と断じた野党7会派提出の問責案に賛成した理由について、このように述べた。
消費増税法案を民自公の談合で成立させてしまった今となっては、問責案に「国民の多くは今も消費増税法に反対」と明記されているか否かなど、自民党にとっては「小異」でしかない、ということのようだ。「国民の声」に背く自党の政治姿勢を「小異」だと開き直る野党自民党が、「国民の声」を「音」だと言い放つ総理に対する問責決議を可決するという構図は、何とも滑稽なもの。
「マニフェスト違反ということもあって、何をやっていく政権なのかという方向性が見いだせないのが現状です」
三党合意で消費増税法案を成立させた張本人が、今さら野田総理が消費増税法案を可決させたことを「マニフェスト違反」だと批判し、「国民の信を問う」理由とするのは、国民をバカにしたもの。消費増税実施を「マニフェスト違反」だと批判するのであれば、三党合意などせずに、「不退転の決意」で消費増税に突き進む野田総理にレッドカードを突き付ければよかっただけである。その機会はいくらでもあった。消費増税法案成立させたことにおいて、自民党は「共同正犯」でしかないことを自覚するべきである。
「今のような外交・領土問題等々の色々なことを考えましてもね、一日も早く解散をして、そしてしっかりとした政治運営の体制をつくっていく」
日本経済新聞社とテレビ東京が24~26日に共同で実施した世論調査での政党支持率が21%に留まった民主党から、支持率25%の自民党に政権が移ったことで「しっかりとした政治運営体制」が出来るかのような谷垣総裁の主張は厚かましい限り。
今の日本が抱える問題は、時事通信社の8月の世論調査による、民主党、自民党の支持率がそれぞれ6.9%、13.3%に留まったのに対して、「支持政党なし」が69.3%に達したという結果が示す通り、民主、自民どちらが政権を担っても「しっかりとした政治運営体制」が出来ない悲惨な状況に置かれているということである。民主党や自民党が「しっかりとした政治運営体制」を作り上げたいと思っているのであれば、まず、こうした事実を直視することである。
野田総理が、「不退転の決意」などという空虚なキャッチフレーズを振り回し、「国民の声」に背く消費増税に前のめりになっていたことを、日本の主要メディアは「政局よりも大局」「決められない政治からの脱却」などという、これまた無意味なキャッチフレーズを繰り返すことで後押しして来た。
しかし、その結果日本の政治が辿り着いたところは、「政局による国会の空転」による「何も決められない」状況である。「国民の声」に背いた消費増税法案を可決成立させた民主、自民、公明に加え、三党による政治的談合を煽った日本の主要メディアもこうした事態を招いた「共同正犯」である。