2013/03/31
2012年度金融市場 ~「リスクオン」の中で鮮明になった「リスクオフ」
2012年度が終わった。ユーロのソブリン危機や、米国の「財政の崖」、中国の景気鈍化懸念等々悪材料が目白押しだったにも関わらず、主要国の株式も債券も上昇する結果となった。特に、野田前総理の「自爆解散宣言」以降、円安に振れた日本は、内外債券、内外株式とも上昇、終わってみれば「誰でも利益が出せる投資環境」となった。

世界の株式市場のPerformanceを見てみると、「先進国優位」という展開となった。一般的には「リスクオンの動き」で株式が買われていると言われていたが、投資対象国選別という観点からは「リスクオフの動き」が鮮明になっていると言える。

金融市場で「リスクオン」の流れが強まる中、投資対象国においては「リスクオフ」傾向が鮮明になったということは、新興国経済が、先進国の経済状況に関係なく成長し続けるという「デカップリング論」が、2012年度の金融市場によって、完全に否定されたということ。「中間層」がまだ十分に形成されていない新興国経済は、外需或いは海外からの投資への依存度が高く、「安定した先進国」なしには「内需中心の経済成長」は為し得ないということ。
戦後数十年に渡って形成して来た「分厚い中間層」に綻びが見え始めている日本。「分厚い中間層」を維持しながら、「規制緩和」、「競争原理の導入」、「自由貿易」を取入れることが出来るかが今後の焦点となりそうだ。