2017/08/31
AI 予想に頼り過ぎることなかれ
「経産省は7月19日から野村証券などに委託して開発したビッグデータやAIを駆使した3つの経済指標の公表を始めた。その1つがツイッター上のつぶやきなどから鉱工業生産指数をAIで予測する『SNS×AI 鉱工業生産予測指数』だ」(31日付日経電子版「マクロ経済指標 AI 予測どこまで正しい?」)「ビッグデータ」、「AI」という新しい単語を並べられると、何か人間の英知を超えたことが可能になるイメージを感じるかもしれない。こうした新しい言葉が過大な期待を生む構図は2000年前後のITバブル時代と同質のもの。
「ビッグデータ」と「AI」を組み合わせて「ツイッター上のつぶやき」を分析して経済指標や株価などをAI に予想させるという考え方は、AI の発達を無視したナンセンスなものでもある。
「ツイッター上のつぶやき」に基づいたAI が一般的になっていけば、それに追随する形で予想値を都合よく誘導するためのつぶやきを大量に発するAI が登場してくることは十分に予想されること。
重要なことは、「AI がどこまで正しい予測が出来るか」ではなく、いくらAI が発達したとしても、人間である以上「自分の頭で考える」ことから逃れることはできないということだ。自らの頭で考えることを止め、思考と判断をAI に委ねるということは、自らが人間であることを放棄することであり、AI が発達する社会では生き残ることは出来ない。