2017/10/31
「大規模緩和継続」を唱え続ける黒田日銀総裁の中央銀行総裁としての資質
「実体経済の実勢を踏まえた上で、現実を把握する能力と理論的に分析する能力の双方が必要」(31日付日経電子版「黒田総裁、景気 『緩やかな拡大続く』 大規模緩和は継続」)「他国に厳しく、自国に甘い」という性格なのか、それとも笑えないジョークなのか…。
どちらにしろ、中央銀行総裁の資質について黒田日銀総裁の口からこうした発言が出るとは…、驚きを禁じ得ない。
「現実を把握する能力と理論的に分析する能力」のどちらか一つでも備わっているならば、4年半続けても「2%の物価安定目標」を実現どころか近付くことも出来ない「異次元の金融緩和」の出口論を根拠も示さずに封印し、盲目的に継続することなどしないはずだ。
政策効果とリスクの検証を行い、別の手段がないか、このまま続けることのリスクは何かなど様々なことを天秤にかけて考えるはずだ。
「(物価上昇率が)安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」と何かの一つ覚えのように強調し続けるのは、自ら「中央銀行総裁の資質」を備えていないことを認めるようなもの。
「異次元の金融緩和」の盲目的な継続は、中央銀行が政府からの独立性を失っていることの証左であると同時に、安倍長期政権の負の遺産である、
明日再発足するであろう「仕事人内閣」のなかには、「異次元の金融緩和」の盲目的な継続に疑問を呈している閣僚も含まれている。「仕事人内閣」には「異次元の金融緩和」のリスクと盲目的な継続の是非ついて積極的に議論して頂き、日本経済の将来のためにも来年4月に迫った黒田日銀総裁の継続問題を真剣かつ客観的に考えてもらいたいものだ。
重要なことは「異次元の金融緩和」の盲目的な継続は、国民が忌み嫌う「将来世代にツケを回す政策」だということである。