2017/12/28
法律は必ずしも騙された人を守らない ~ 貸家着工6か月連続減
「神奈川県の60代男性は、不動産業者から35年にわたり1部屋7万5千円の家賃収入が見込めると持ちかけられ、5億円を借りた。ところが、今の家賃相場は5万円。大谷昭二センター長は『家賃は将来下がる可能性が高く、被害が広がる可能性がある』とみる」(27日付日経電子版 「アパート建設熱、冷める 貸家着工6カ月連続減」)厳しい言い方だが、35年間家賃が維持できると思う方を単純に「被害者」 と呼んでいいのだろうか。
貸し手の論理ではなく借り手の論理も考える常識力を持ち合わせていれば、専門知識などなくても35年間家賃が維持できないことは分かるはず。
法律は脅迫を受けた「被害者」は保護するが、騙された人を必ずしも保護するとは限らない。何故ならば、騙された側にも落ち度があるからだ。
ここ数年アパートの着工が増えてきたのは、相続税増税によって、節税需要が増えたからだ。人口が減り借り手需要が減る中で、節税目的で供給が増やされれば空室率が上昇するのは当然のこと。
相続税を減らすという一時の利益のために、相続人がローン地獄に追い込まれるというのは、「因果応報」ともいえる。
アパートは需要のある所に建設すべきであり、自分の土地に建設すべきものではない。これは不動産や金融に対する専門知識ではなく、当然持ち合わせておくべき常識でしかない。
常識力を発揮さえすれば防げた被害を受けた人を単純に「被害者」として扱うことが、常識力を身に付ける重要性を希薄にさせ、同じような悲劇が繰り返される要因を作っているように思えてならない。