2019/08/21
GPIFは「想定できなかった」で許されるのか
「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO)は20日、グローバル市場が非常にシンクロナイズ(同期化)された状況の下で、運用担当者はあらゆる資産クラスで損失を出す危険があると語った」(21日付Bloomberg 「GPIF水野氏、全資産クラスで損失の危険-市場のシンクロに警鐘」 )現在日本で最も資産運用に関する高い知見が求められるGPIFのCIOが「市場のシンクロナイズ化が進んでいる」ことに今頃になって警鐘を鳴らしている場合だろうか。
「株式で損失を被る際には債券で利益が得られるというのが、ポートフォリオ分散の一般通念だが、GPIFがあらゆる資産クラスで損失を出し、為替差損も被る状況は、これまで起きたことがないと説明した」
「これまで起きたことがなかったので想定できなかった」という弁解は、一般投資家には許されても、GPIFのCIOには許されるものではない。
少なくとも小生は2014年10月にGPIFが基本ポートフォリオを変更したときから、基本ポートフォリオ変更の根本的な問題は「分散投資効果が発揮されない経済状況になっていることに全く気付いていないことだ」というを、このブログでも講座でも繰り返し指摘してきた。
要するに、こうした事態は資産運用に対する高い知見を持っている専門家であれば気付いて当然だったのだ。
しかも、こうした日本国民にとって極めて重要な問題を、日本から遠く離れたあ米カリフォルニア州サクラメントでの米最大の公的年金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の理事会で発表するというのは如何なものか。
カルパースに報告するより前に、国内で発表するべきではないだろうか。「公的年金2000万円不足問題」が大きな政治的問題となった直後ということで「忖度」」したのだろうか。
重要なことは、こうした運用の間違いは、「コスト(損失)」を負わずして修正することは出来ないことだ。
「代案」はある。しかし、「誤った判断」」をなかったことにする「代案」は存在しない。
こうしたことを国民はもう少し認識した方がいい。資産運用や経済政策は「最初の一歩」が最も重要で慎重に検討する必要があるのだから。