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バブル崩壊は気持ちの問題でなく金融の問題である

「今から考えれば、これほどの資産価格の上昇はどう見ても異常である。しかし、当時はこうした資産価格の上昇をもっともらしく説明する議論が支配的であり、誰も異常だとは思わなかった。バブルの渦中では、人々はそれがバブルだということに気が付かない。だからこそバブルは起きるのだ」(30日付日経電子版 「バブル崩壊、失われた20年の始まり」

実際に資金を動かしていない学者や研究者の方の説明はだいたいこうした具体性に欠ける抽象論になってしまう。

彼らの議論に決定的に欠けているのは、なぜこの時期にバブルが発生し、そして崩壊したのかという点だ。

社会がバブルを認識するのは、株や土地といった資産価格が下落するからだ。換言すれば、多くの人がバブルが生じていることに気付くことによってバブルが崩壊する訳ではない。

実際に、1990年1月からのバブル崩壊局面で投資行動を大きく変えたのは、企業などに多額の不動産投資資金を提供してバブル演出の主役となった銀行である。1989年末までバブルの一翼を担っていた銀行が、1990年1月から突然バブルに気付いたという説明が説得力のあるものだろうか。

株価や地価の動きをいくら眺めてもバブル形成と崩壊のメカニズムは見えてこない。それは価格や人々の気持ちの持ちようの問題でなく金融の問題だからだ。

バブルの形成と崩壊に大きな役割を果たすのはその制度を含めた金融の変化である。1990年に崩壊が始まったバブルにも金融にまつわる様々な要因が関わっている。その時期にバブルを形成させそして崩壊させる変更と変化が日本の金融に起きていたからだ。
金融において80年代後半にバブルが形成され、1990年にバブル崩壊が始まったのは、金融においてその必然性が存在したからに他ならない。

詳細は拙著「1989年12月29日 日経平均3万8915円」(河出書房) に記してあるので、一般の方はもとより学者や研究者の方々にも是非読んで頂きたい。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

著書

中学一年生の数学で分かるオプション取引講座(Kindle版)

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