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誰がためのETF購入か ~ 日銀笛吹けど海外投資家踊らず

「29日の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸し、前日比27円48銭(0.12%)高の2万3539円10銭で終えた。きょうは9月末の配当権利落ち日にあたり、日経平均の配当落ち影響度(約142円)を踏まえると、170円程度の上昇となった」(29日付日経電子版 「東証大引け 3日続伸、27円高 欧米株高を好感 NTTドコモは終日買い気配」

今日は、配当落ち分を考えれば日経平均の下落幅が140円安以内であれば実質上昇という日だった。そういう状況の中で日経平均の前場引値は77円安。実質では63円高と3日連続上昇という状況だった。

しかし、日銀は実質3連騰では満足せず、名実共の3連騰を望んでいたようだ。日経平均株価が実質3連騰しているなかで、今日も日銀は801億円のETFを購入し「株価指数先物主導で上げ幅を100円超に広げる場面」を演出して見せた。

昨日時点で日経平均株価は先月末比で371円、1.6%上昇してきたなかで、日銀の今月のETF購入額は5,607億円と、先月の購入額1,806億円の3.1倍に膨れ上がっている。

株価が上昇する中で日銀がETFを買っているのか、日銀がETFを購入して株価を支えているから株価が上昇しているのかは定かではないが、今月に入って日銀が積極的にETFを購入していることは事実である。

それは、アベノミクスの継続を表明する菅新内閣が誕生した今月の株価下落は絶対に阻止するという日銀の強い意志の表れなのか、それとも、菅総理の目玉政策である携帯料金大幅値下げの影響を受けたNTTによるドコモ完全子会社化が表明された日の株価下落は許せなかったということなのだろうか。さらに、9月末の中間期末を控え、企業決算やGPIF決算などへの影響を気にかけているのだろうか。

今年に入ってからの日銀のETF購入額は今日で6兆円を超えてきた。その結果、日経平均株価の今日の引け値は23,539円と、昨年末の23,656円にあと117円に迫った。但し、配当落ち分が3月末の約180円と今日の約140円、合計320円程あるので、実際には昨年末を200円ほど上回った計算になる。

コロナ感染拡大の影響で株価が急落した3月の日銀金融政策決定会合で、ETF購入額は年間12兆円に引き上げられているので、年末までに3兆円位の買余力がある計算になる。これだけあれば年末に向けて日本の株価が下落する可能性は常識的にいえば低いといえる。

問題はそうした中でも海外投資家が今年5兆5354億円、今月だけでも9591億円という大規模な売越を記録していることだ。今月に入って日銀は積極的にETFを購入しているが、同時に海外投資家も売りを加速させている。1カ月足らずで9,591億円という大規模な売越しを記録するのは、3月のコロナショックの際に2兆1,981億円を売越して以来である。

日本はコロナ感染に関しては世界の優等生といえる立場にある。そして、表面的には株価も堅調である。それでも海外投資家が日本株に魅力を感じていないようだ。

コロナ禍に苦しむ多くの国のなかでも、中央銀行がETFを使って株価を支えるという愚策をとっている国はない。それが海外投資家の失望をかっている要因だとしたら恐ろしいことだ。海外投資家は今年の3月末時点で日本株を162兆4171億円、全体の約30%を保有している。単純にいえば、毎年5兆円規模の売りを30年以上続けられる投資主体なのである。

「コロナ感染の優等生+中央銀行の大規模なETF買い」というねじれ政策が、日本経済にどのような結末をもたらすのか。そうしたことを日銀は考えているのだろうか。さらにその影響を強く受けるのは将来世代の国民であることを。

「世の中には国民の皆さんの感覚から大きくかけ離れている、当たり前でない、そうしたことが残っていると思います」と述べている菅総理の目に、日銀の大規模なETF購入は「当たり前」に映っているのだろうか。

日本がコロナ禍で採っているねじれ政策による副作用は、携帯料金の4割引き下げくらいではとても埋め合わせられるものではないという認識を持って頂きたいものだ。コロナ禍での大規模な日銀のETF買いは、日本経済にとってワクチンではなく副作用の強い鎮痛剤でしかないのだから。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

著書

中学一年生の数学で分かるオプション取引講座(Kindle版)

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