2020/10/29
確定給付型企業年金への逆風が強まる中での不思議な現実
「将来の年金支給額が事前に決まる確定給付型の企業年金への逆風が強まってきた。第一生命保険は29日、企業から預かる年金資金の運用で約束していた予定利率を2021年10月に年1.25%から0.25%に引き下げると正式発表した。日本生命保険も検討している。運用環境の悪化で企業年金は確定給付型が退潮し、確定拠出型などへの移行が進む可能性がある」(29日付日経電子版 「企業年金に強まる逆風 第一生命、予定利率下げ発表」)運用環境の悪化を受けて、第一生命は20年近く維持してきた予定利率1.25%の引き下げに追い込まれた。日本生命など他の大手生保も追随する意向を示してることから明らかなように、これは第一生命一社の運用能力の問題ではなく、運用環境の悪化という全体の問題。
こうした状況の中で不思議なことは、これだけの運用環境の悪化にも拘わらず公的年金の管理運用を担うGPIFの2001年以降の運用成績は2.97%、累積収益額は70兆円と安定した収益をあげているところ。

GPIFは第一生命の運用子会社にも日本生命の運用子会社にも運用を委託している。運用環境の悪化によって20年近く維持してきた1.25%の予定利率を放棄せざるを得なくなった会社に運用を任せているGPIFだけが3%近い運用収益を上げているという不思議な現実はどうやったら起きるのだろうか。