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ETF、「株価対策」として生まれ「株価対策」の道具と化した25年 ~ 歴史の幕開けに携わされた者の戯言

「日本初のETFである日経300ETFが1995年に上場してから今年で25年目という、大きな節目を迎えました」(日経電子版 「ETF25周年特別対談」

もう25年ですか。対談しているお二人だけでなく、世の中の誰もこの「日本初のETFである日経300ETF」の設定・運用・上場責任者が小生であったことは全くご存じないでしょうね。

さらには、小生が設定・運用・上場責任者になった理由が「小生が野村アセット内で唯一の反対者」であったことはもちろん、バスケットトレードも場外取引もなかった1995年に日経300ETF上場時の玉集めに野村證券が協力しなかった事実もETFの歴史の中に残されていない。

「米国に遅れることわずか2年後に日本でもETFが誕生していたことに改めて驚かされます」(同日経電子版

現代の人が理屈で考えれば驚くのも当然。この日本初のETFが市場のニーズを反映しようとした野村アセットの努力によって誕生したのではなく、自社株買いが認められていなかった時代の実質「自社株買いファンド」として当時の大蔵省と野村アセットの企画部門が結託し、「株価対策」を目的に強引に生み出した商品なのだから。当時設定・運用・上場責任者に指名された小生にとっても青天の霹靂だった。

こうした市場のニーズとかけ離れた歪んだ理由で誕生したETFの純資産残高は10月末時点で47兆円強と公募投信の約35%を占めるまでに成長している。しかし、そのうちの74%に相当する34.8兆円は日銀が株価対策のために保有しているのはよく知られている通りだ。

「当社が日本におけるETFの歴史の幕開けに携われたのを誇りに思います」(同日経電子版

野村アセットの社長はこのように発言しているが、「ETFの歴史の幕開け」に強制的に携わされた人間には、実質「自社株買いファンド」という「株価対策」を目的に誕生したETFが 誕生から25年を経た今、日銀の「株価対策」の道具として使われていることが皮肉に見えてならない。それは日本のETFが25年前の誕生時に背負わされた悲しい運命なのかもしれない。

「当社としては、日本におけるETFのパイオニアとして、これからも皆様と力を合わせながら日本のETF業界をさらに盛り上げていきたいと思います」(同日経電子版

また、ファンドマネージャーの運用能力という付加価値を追い求めるはずの運用会社が、ETFというファンドマネージャーの運用能力を必要としない商品に力を入れている姿も元ファンドマネージャーには悲しいものに映る。

ベンチマーク運用とインデクス運用が主流となった今日では、ファンドマネージャーというのは絶滅危機種になったといえる。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

著書

中学一年生の数学で分かるオプション取引講座(Kindle版)

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