2021/01/20
10兆円大学ファンド創設 ~「202X金融消滅」回避に動き出した?
「政府出資0.5兆円と財政融資4兆円を元本に来年度中に運用を開始したい考えだ。政府や大学の出資などで早期に10兆円規模の運用元本を形成し、23年度にも運用益での大学支援に乗り出す」(19日付Bloomberg 「10兆円大学ファンド、運用委託先選定10月に開始-国内外に分散投資」)元本10兆円ですか…。運用期間50年ということなので、単純計算では年収1000万円の人材を毎年2万人雇えるので、現在約1万6000人いると言われているポスドク全員を50年雇用し続けることが可能な規模だということ。
疑問に思うことは、50年近くポスドク問題を解決し得る元本が用意できるのであれば、わざわざ運用リスクをとって収益を目指す必要性があるのかというところ。
「政府が創設する10兆円規模の大学ファンドは、10月にも複数の運用委託機関の選定作業に入る。国内外の債券や株式、不動産、未公開株などに幅広く分散投資する」
当面ゼロ金利が続く可能性が高いこと、株価が30年ぶりの高値水準まで上昇してきたことを考えると、大学ファンドの基本的資産配分はGPIF と同様、或いはそれ以上に株式重視型になる可能性が高い。「23年度にも運用益での大学支援に乗り出す」 というスケジュールも考え合わせると、大学ファンドの真の目的は、国会の目が届き難いところに日銀に次ぐGPIF の受け皿を準備することにあるように思えてならない。
大学ファンドの設立は、政府がGPIF の出口を作ることで「202X金融資産消滅」回避に乗り出したことを表した動きかもしれない。