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銀行規制強化がヘッジファンドからの融資引揚げを招く?

「ブルームバーグは29日、巨額ブロック取引の背後には、タイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・フアン氏の財産を管理・運営するファミリーオフィスのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが取引銀行から200億ドル相当の株式の売却を強いられたことがあると、匿名を条件とした複数の関係者からの情報を基に報じた」(29日付Bloomberg 「野村HDが米で2200億円規模の損害も、巨額ブロック取引と関連か」

補完的レバレッジ比率の分母であるリスク資産量を緩和措置打ち切りによって拡大させ、分子である自己資本には増配を認めることで減少圧力をかけるという、銀行規制に関するチグハグな政策と、ヘッジファンドに対する融資引き上げが無関係とは言い切れない。

国債と準備預金をリスク資産にカウントする必要が生じる中で補完的レバレッジ比率を5%以内に保つことを迫られたら、リスク資産量を保つために融資等他のリスク資産を縮小させるというのは金融機関にとって合理的な判断といえるからだ。

懸念されることは、こうしたヘッジファンドに対する融資引揚げの連鎖が起き、デレバレッジに動き出すこと。

補完的レバレッジ比率の緩和措置打ち切りと金融機関の増配を認めたという今回のFRBのチグハグな決定は、リーマン・ショック以降金融市場崩壊を起こさないように細心の注意を払って来たFRBが犯した初めてのミスだといえる。

このFRBが犯したリーマン・ショック以降最初のミスが、民主党左派の影響によるものだとしたら問題は深刻。ヘッジファンドが原因で金融市場が混乱したら、民主党左派に金融機関に対する規制をさらに強化するべきだという口実を与えかねないからだ。

それによってデレバレッジの動きがさらに強まれば、低金利と量的緩和によって様々なところでレバレッジが掛けられている金融市場のどこで爆発が起きてもおかしくない。そうなったらもう誰も止められない。

金融機関が過剰なリスクを取らないようにするというのは正しい考え方ではあるが、金融機関を通して世の中が過剰なリスクを取ってしまったあとに規制を強化するというのは現実問題として正しい考え方とは言えない。ここが理想と現実の違い。平時と非常時とでは正しい政策が異なってくるという認識が必要だ。

パウエルFRB議長がFOMC後に補完的レバレッジ比率の緩和措置に関して何も発言しなかったのは、おそらく16年間投資銀行での経験からこのことを十分認識していたからだ。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

著書

中学一年生の数学で分かるオプション取引講座(Kindle版)

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