2021/04/10
長引かせたくても長引かせることが出来ない ~「異次元の金融緩和」10年のツケ
「日銀の金融緩和がさらに長引く」もはやこうした考え方は危険なものだといえる。
3月になって日銀は金融政策を修正している。これは「副作用」を懸念しているからではない。異次元の金融緩和が壁にぶち当たったからだ。
3月の金融政策決定会合でETF購入額に関して「上限(12兆円)」を残し「めど(6兆円)」を外したことが注目を集めた。
しかし、4月の国債買入計画が「幅広い年限の買い入れ回数を3月から減らし、償還までの期間が10年を超える超長期国債では月2回から1回にする」というように修正されたことはほとんど注目されていない。
日本経済新聞は「国債の買い入れ額を減らし、金利を変動しやすくする意図がある」との見方が多いと報じているが、これは余りに相場的な見方であり、金融的見方からかけ離れたもの。
幾らでもお札を刷ることが出来る日銀は、ETFと国債を無限に購入できると信じられている。しかし、それは必ずしも正しくない。
幾ら日銀の購入資金が無限でも、購入するETFが有限ならETF購入は有限ということになる。
これに対して財務省が発行する国債にはETF購入のような有限の壁はない。
しかし、国債発行に上限がなく日銀が国債を無限に購入出来ることと、マネタリーベースを増やし続けられることとは別問題。これは金融政策として効果のない異次元の金融緩和を漫然と10年も続けて来たことによる「時間の壁」だといえる。
日銀が3月から金融緩和の点検と金融政策の修正に転じたのは、副作用を懸念しているからではない。ETF購入は限界に近付き、国債購入によってマネタリーベースを計画通りに増やすことが難しくなり、市場が期待する異次元の金融緩和を続けられなくなって来たからだ。
長引かせたくても長引かせることが出来ない。
これが現在の日銀の置かれた状況である。「日銀の金融緩和が長引く」と信じ続ければ、この先後悔することになるはずだ。