2021/07/15
「デマ」と「正しい情報」の線引きを難しくしている「信頼感」
「厚生労働省など、正しい情報源から情報を見てもらうことが大事で、根拠があやふやなツイートなどを見て、デマを信じ込む人が少しでも減るようにしていきたい」(15日付NHK NEWS WEB 「ワクチン接種 不安あおる誤情報やデマ どう対処する?」)確かに仰る通りだが、「デマ」と称されるものが飛び交うのは、初めてのワクチンであるがゆえに将来的な副反応について「根拠」が存在せず、「デマ」と「正しい情報」を明確に線引きすることが出来ない状況にあることを考えれば仕方のないことだ。
「不妊になる」「遺伝情報が書き換えられる」等々、若者の中に将来に対する不安を抱くものが一定数出て来るのは当然のことで、彼らが漠然と抱くこうした不安を「デマによるもの」と決めつけるのは少々乱暴のようにも感じる。
万万が一将来その不安が現実になったら、今政府が「正しい情報」と主張しているものも「無責任な発言」になってしまう。勿論多くが科学的には「ワクチンとの因果関係はない」或いは「因果関係があるとは言えない」ものだろうが、例えそうだとしても本人がワクチンの副反応だと信じ込み後悔に苛まれるとしたらそれは不幸なこと。「最高齢若年者」である筆者自身はワクチン接種を受けるが、親として息子達には「ワクチン接種をしないで済むなら接種しないでもらいたい」というのが本音でもある。
問題なのは「デマ」と称される情報が飛び交うことよりも、政府が発する情報よりも「デマ」と称される情報を信じる人が多く存在することだ。そして「根拠」が存在しない時点で「デマ」と「正しい情報」の線引きを迫られる際に重要なのは、情報源に対する「信頼感」だということだ。
現在「デマ」と称される情報を信じる人が多数存在しているのは、今の政府がこれまで公文書偽造までして都合の悪い情報を隠してきたという事実に加え、メディア等に専門家として登場する人達が政府の代弁者である場合が多いことを知っているために、「厚生労働省など正しい情報源」から発せられているものを「正しい情報」だと信じきれないでいるからだ。
こうした状況が変わらなければ、政府がいくら若者向けにSNSを利用して情報発信しても「デマ」と称される情報が減ることも、それを信じる若者の数も減ることは望み薄である。政府が発する情報が「正しい情報」として信じられる社会であれば、例え「デマ」と称される情報が飛び交ったとしてもそれを信じる人は増えないはずである。
隗より始めよ。デマ情報を減らすために政府がやるべきことは、政府が発する情報が「正しい情報」だと思って貰えるように、国民に対して正直になることだ。