政治献金は「結果」」じゃないんですか ~ 知らなければ違法行為ではない?

■ 「週刊誌が得られる情報」は「政治家が得られない情報」?
「補助金のことは献金の受け手は知り得ない立場で、知らなければ違法行為ではないということは法律に明記されており、違法行為ではないことは明らかだ」

27日に衆議院予算委員会の席上、安倍総理は閣僚の政治献金問題に関してこのように述べました。

総理のこの発言はマスコミなどではほとんど問題視されていませんが、個人的には疑問を感じます。

まず、法律上「知らなければ違法行為ではない」という主張は正しいのでしょうか。

総理の発言は、民法上「善意の第三者」(「善意」とは「知らない」ということ。この場合は献金を受けた企業が1年以内に国の補助金を受取っていたかを知らない政治家ということ)は保護される場合があることを念頭に置いたものかもしれません。しかし、「善意の第三者」が保護されるのは、「善意無過失」である場合で、通常の注意を払えば防げた場合は「善意無過失」にはなりませんから、保護されるとは限りません。

問題は、企業から政治献金を受けた政治家が、その企業が国から補助金の交付を受けていたか否かを調べることが出来るのかということになるように思います。もし、調べられるのに調べなかったとしたら政治献金を受けた政治家は「善意無過失」にはなりませんから、「善意の第三者」として保護される対象とはいい難いと言えます。

一連の政治献金に関する問題は週刊誌が報じたものですから、少なくとも国から補助金を受け取った企業であるか否かという情報は、週刊誌が調べれば分かる程度のものであることは確かです。ですから、週刊誌が調べれば分かる情報が、政治家が通常の注意を払っても得られない情報なのかがポイントになるように思います。

もし、政治家が通常の注意を払えば得られる情報であったのであれば、「知らなければ違法行為ではない」という安倍総理の主張は怪しげなものになってしまいます。

■ 「再発防止策」をとって来なかった政府の怠慢
反対に、政治家が通常の注意を払っても得られない情報であるとしたら、それはそれで問題です。

国から補助金を受けた法人からの献金問題は、2007年第一次安倍内閣でも赤城農水相(当時)が国会で追及を受けており、今回初めて明るみになった問題ではありません。

民間企業で不祥事が起きた場合にまず行われるのは「原因究明」と「再発防止」です。今回複数の閣僚が、第一次安倍内閣でも疑惑をもたれた献金問題で再び追及を受けるようになったということは、政府はこの8年間何の「再発防止策」を打ち出してこなかったということです。

情報化社会になった今日、週刊誌には得られて政治家には容易に手に入れることが出来ないものになっていたとしたら、それは政府の怠慢でしかありません。

国会で追及されたり、場合によっては「3年以下の禁錮または50万円以下の罰金」が科せられたりすることで、政治生命を絶たれる可能性がある政治資金規正法の問題は、本来ならば政治家にとって避けたいリスクのはずです。政府が「この1年間に国から補助金を受けた企業のデータベース」を用意すれば済む問題に対して、何の「再発防止策」がとられていないということは、こうした違反行為が日常的に行われていることを示唆するものかもしれません。

むしろ、「知らなければ違法行為ではない」という弁解の余地を残すために、敢えてこうした情報を政治家が容易に手に入れることが出来る環境を整えていないのではないかと疑われても仕方ありません。

■「結果」なんですか、「プロセス」なんですか?
「政治は結果なんですよ」

丁度2年前の2013年2月28日の衆議院予算委員会で、安倍総理は民主党玄葉氏の質問にこのように切り返し、喝采を浴びました。

その安倍総理が、一連の政治献金問題に関しては、政治資金規正法で禁止されている「国から補助金の交付決定通知を受けた法人からの1年以内の献金」を受取ったという「結果」よりも、「知らなければ違法行為ではない」という「プロセス」を重視することにも、違和感を覚えずにはいられません。

政府は、有権者は選挙の立候補者が「国から補助金の交付決定通知を受けた法人からの1年以内の献金」を受取った人物であるかは調べようがない「善意の第三者」であることを肝に銘じる必要があるように思います。「善意の第三者」である国民は、「知らなければ違法行為ではない」とたかを括った「善意有過失」の政治家が行う政治に対して「結果責任」を受け入れざるを得ない立場にいるのですから。

「政治は結果なんですよ」と「結果」にこだわって来た安倍総理には、複数の閣僚が「国から補助金の交付決定通知を受けた法人からの1年以内の献金を受取った」という「結果」を重く受け取って頂き、早急に「知らなければ違法行為ではない」と開き直るのではなく、「再発防止策」をとって頂きたいものです。


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コメント

残念ながら

趣旨にはご賛同するものの、残念ながら政治資金規正法第二十二条の三第6項に
何人も、第一項又は第二項(これらの規定を第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならない。
とあります。
ですから、違反の寄附であることを知らなければ問題はないということになります
総理はこのことを言っているのだと思います
おかしなことだと思いますが

趣旨そのものは賛成しますが...
もしそうすると、個人献金も含めて、あらゆる寄付に補助金や利害関係の有無があるかないか、すべてチェックしなくてはいけないことになるのでは。

身元調査などの手間を考えると、ある程度仕方ない部分もあるんだろうなと言う気がします。
「結果」にこだわるなら、「返金すればもらってないからok」が前提かなと。
もう少しロングスパンで見れば、「どこそこから寄付をもらい、それに配慮した政治活動をした」とかが公開されて、それにより落選するのが「結果」になればいいんでしょう。国民の審判ってことで。

まあ、落選時にもらったお金に文句つけてるようですし、政治家の大掃除として、政治家全員、落ちてるときも込みで全部調べて公開してみてはいいんでは。んで1回、それを争点に叩き合い選挙でもしてみればいいと思いますよ。
いろんな意味で無理でしょうが。

私は、政治献金が、補助金対象の企業から、所管の大臣に還付されていることが問題である、という指摘に、首を傾げます。正当な政治活動の中で、支持者(企業)が、補助金を受けることも在り得ます。賄賂でないのなら、政治資金規正法を徹底した手続きにすればいいだけではないですか?それなら、企業からの団体献金は全面的に禁止しないといけなくなります。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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