ニュース性を失う「急激でない円高」と「政策論争」

この水準が当たり前になってしまったのか、15年ぶりとなる1ドル83円台の円高が、ニュースで取り上げられる回数も時間も目に見えて減って来てしまった。今日も円は対ドルで一時83円台前半まで上昇する局面があったにも関わらず、テレビニュースや新聞での取り扱いは極めて限定的なものだった。

ニュースに取り上げられなくなった理由は、円高が「急激でない円高」であるため。政府や日銀は繰り返し「急激な円高」と繰り返すが、足元の為替の動きは「急激」とは言えない状況。15年前、1995年の4月に一時80円割れを記録した際の動きと比較してみると、今回の円高が、「急激でない円高」であることは明らか。1995年4月18日に最高値80円63銭(引値)を記録する20日前の3月30日のドル相場は89円55銭であった。つまり、僅か20日間で10円も円高が進んだ訳で、まさに「急激な円高」と言える状況であった。

これに対して今回の円高局面は、6月23日を最後にもう2カ月半もドルは80円台にへばりついている。ドルが93円台であったのは5月14日のことであり、10円円高が進むのに4カ月近くかかっている。20日間で10円の円高が進んだ15年前と比較すると、今回の円高が如何に「急激でない円高」であるかが見て取れる。

最初は「ノーコメント」と幼稚な発言をした財務大臣も、最近は官僚に教えて貰った「断固たる措置を取る」というお決まりコメントを繰り返しているが、「急激でない円高」局面での介入は極めて難しい。それは、「急激な円高」局面での介入が、特定の為替水準ではなく、「相場の急激な変動」を抑える目的のものだと主張出来るのに対して、「急激でない円高」局面での介入は、政策当局が為替の一定の為替レートを維持することを目的としたものだと捉えられてしまうからだ。
自国通貨安による外需主導の景気回復を目指す欧米諸国が「協調介入」に同意しないことは明らかであることに加え、今の様な「急激でない円高」局面は、「認識」も「決断」も甘い、幼稚な政府から「単独介入」の機会さえも奪ってしまっている。

ニュース価値が落ちて来てしまっているのは民主党代表選挙も同様。「政策論争」が出尽くして来たこともあり、実質次期総理大臣を決める選挙の報道も、目に見えて減って来た。「政策論争」がニュース性を失ったことで鎌首を持ちあげて来たのが「スキャンダル報道」。今日発売の週刊誌では、小沢前幹事長と小沢ガールズの女性議員の密会写真など、下衆な話題が踊っている。もしこうした「スキャンダル報道」が、対立する菅首相サイドからリークされたものだとしたら、その「幼稚さ」に呆れるばかり。これではどちらが勝利しても、「挙党一致」など望むべくもなく、国民は暫く「急激ではない円高」と、「短命内閣」に悩まされることになりそうだ。

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近藤駿介

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