日経平均株価、2か月半ぶりの大幅下落 ~市場に現れた小さな変化

「26日の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日比275円08銭(1.4%)安の1万9471円12銭で終えた。1万9500円の節目を割り込むのは19日以来、5営業日ぶり。下げ幅は1月14日(291円75銭)以来、約2カ月半ぶりの大きさとなった」(26日付日経電子版「東証大引け、反落で1万9500円割れ 下げ幅は2カ月半ぶりの大きさ」)

「配当権利取りの買いが膨らみ、日経平均株価が2万円を回復する」というのが既定路線のように思われていた株式市場が、26日予想外の下落に見舞われました。

約2か月半ぶりの大幅下落といっても3月末の決算を控えた時期であるうえ、下落率は1.4%ですから特に大きな下落だとはいえません。「元ファンドマネージャー近藤駿介の実践資産運用サロン」で指摘した通り、日経平均株価のVolatilityは10%と昨年9月以来の水準まで低下して来ていましたから、相場の流れとしてVolatilityが上昇する方向に動いたとしてもそれほど不思議なことではありません。

ただ、26日の日米の金融市場の動きは、市場の雰囲気が若干変化して来ていることを示唆しているものかもしれません。

26日の下落の要因の一つとなったのは、米国耐久財受注が予想以上に悪かったことに端を発したドル安、株安でした。為替市場で円は一時118円台前半まで上昇し、こちらは約1ヵ月ぶりの円高・ドル安水準となりました。

意外だったのは、経済指標の谷間とはいえ、もともと振れが大きい統計と目されている耐久財受注に市場が大きく反応したこと。こうした市場の反応から想像されることは、日本の投資家以上に海外投資家は「ドル高」に強い警戒感を持っているということです。

その伏線は、先月のFOMC後のイエレンFRB議長の記者会見にあったのかもしれません。これも「元ファンドマネージャー近藤駿介の実践資産運用サロン」で指摘したことですが、先月のFOMC後の会見で、イエレンFRB議長は予想以上に「ドル高」に関して言及していました。

日本の政策当局や投資家にとって「ドル高」はポジティブですから、「ドル高」問題に鈍感になりやすいといえます。しかし、イエレンFRB議長が予想以上に「ドル高」問題に言及したことを受け、海外投資家は日本人以上に「ドル高」に神経質になっている可能性があるように思います。

「ドル高」に対して日本人以上に神経質になっている海外投資家が、昨日発表された米国耐久財受注の予想外の下振れの原因を「ドル高」に求めたとしても不思議ではありません。

「ドル高」に対して警戒感を示していたイエレンFRB議長が、「ドル高」によって米国経済に下押し圧力がかかっていると判断するとしたら、インフレ率がFRBに目標を遥かに下回っている現在の状況で利上げに動くことは考え難いといえます。

これまでFRBは、雇用情勢が好転し、経済が回復基調を示す中、「忍耐強く」利上げのタイミングを探って来ました。しかし、FRBが「忍耐強く」しているその間、米国以外の主要国の多くが利下げに走り、それが「ドル高」の流れを強める結果となってしまいました。

こうした「ドル高」によって米国経済が失速し、FRBが利上げのタイミングを失するということになれば、世界の投資家が思い描いていたシナリオが根底から覆ることになってしまいます。米国国債のイールドカーブは、テーパリングが終了した昨年10月末時点と比較すると2年債までは利上げの可能性を反映して0.1%ほど金利が上昇していますが、3年債以上は金利が低下し、10年債の低下幅は0.4%強になって来ています。

こうしたイールドカーブの状況からいえることは、「ドル高」を懸念するFRBは利上げには動き難い、もし動くとしても利上げ幅は0.125%程度という中途半端なものになる可能性があるということです。

昨日の米国株安は、市場が「FRBが利上げできないリスク」、換言すれば「米国一国が世界経済を支える」というシナリオが崩れるリスクを感じ始めたことを示唆するものかもしれません。

米国の耐久財受注の下振れをきっかけにしたドル安、米国株安を受ける格好で日本株も2か月半ぶりの大幅下落となりました。国内要因で気に懸かることは、これまで日本株上昇の主役の1人である日銀が26日も352億円ETFを購入したにもかかわらず、これまでのような反発力を見せなかったことです。

また、東証が26日発表した投資主体別動向によると、日銀と並ぶ主役であるGPIFが含まれる信託銀行は約1305億円の売り越しと、3週連続の売り越しとなっています。年度末を控えての時期的要因もあるかと思いますが、「元ファンドマネージャー近藤駿介の実践資産運用サロン」でも指摘した通り、GPIF自体は年金給付のために年間4~5兆円のキャッシュが流出する投資家であるということを思い出す必要があるのかもしれません。

米国耐久財受注という、普段は市場に大きなインパクトを与えない経済指標に市場が大きく反応したことは、市場を取り巻く状況に変化が起きている可能性を示唆しているのかもしれません。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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