黒田プット?~「恥の上塗り緩和」に市場が期待を掛けるのか

「これまで幾度も大規模な追加緩和で円高・株安を食い止めてきた黒田総裁も、かつてのグリーンスパン議長のように金融市場を支えてくれるのではないか――。こんな期待が市場で広がっているという」(5日付日経電子版 「円高で広がる「黒田プット」への期待」)

このような「政策当局が救ってくれる」という甘ったれた考えを持つ市場参加者が増えて来ていることが現在の金融市場が抱える大きな問題点。

「これまで幾度も大規模な追加緩和で円高・株安を食い止めてきた」とあるが、実際には2014年10月31日の追加緩和時の1回に過ぎない。今年になって打ち出した「補完措置」も「マイナス金利」も空振りどころか市場から大きなしっぺ返しを喰らっているのは周知の事実。

「オプション市場では円高進行と追加緩和を組み合わせた取引も広がっているようだ。例えば115円を超える円高が進んだ場合に日銀が追加緩和に踏み切り、その後は一気に120円まで円安が進むというシナリオを考えた場合、115円を超えた場合にだけ117円台で円買いできる権利が発生する条件を組み込んだオプションをあらかじめ大量に仕込んでおく。実際にその通りに相場が動けば、差額分がもうけになる」(同日経電子版)

黒田総裁が「中央銀行の歴史の中でおそらく最も強力な枠組み」だと称する伝家の宝刀「マイナス金利」による円安効果が2、3日しかもたないことを知ってしまった市場が、黒田総裁による「恥の上塗り追加緩和」を好感すると考える方が無理がある。

「マイナス金利」に踏み込んだ1週間前に、「重要なことは中央銀行の物価目標への強いコミットメント、何でもやるということだ」と豪語した黒田日銀総裁。

しかし、目標達成に対して間違った方向に向かって「何でもやる」のでは意味がない。

大阪に行きたいのであれば東海道を下って行けば歩いてでも到達することが出来る。しかし、東北方面に向かって新幹線に乗っても目的地の大阪に着くことは出来ないのと同じ。

八戸まで来てしまった黒田丸が、「大阪に行くために何でもやる」といってスピードを上げたところで何の意味もない。

「115円を超えた場合にだけ117円台で円買いできる権利が発生する条件を組み込んだオプション」というのは、円高・ドル安に賭けたポジションを持っている投資家が、自律反発による損失を防ぐためのヘッジポジションを作る際に使う一つのテクニックでしかない。

その裏にあるのは「黒田バズーカ」は空砲であるという認識に基づいた「円高ポジション」であることを忘れてはならない。

「黒田プット」の意味は「これまで幾度も大規模な追加緩和で円高・株安を食い止めてきた黒田総裁」に期待したものから、純粋に「黒田売り」になって来たと解釈した方が賢明だ。


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