プラザ合意の残像

「孤独介入」によって円安水準に押し戻されていた為替市場が、FOMC後の「必要なら追加緩和する用意がある」という声明を受けて、また84円台半ばまでジワリと円高に動き出した。「孤独介入」という強硬手段に打って出た菅内閣の効果も、政策変更を見送り何もしなかったFOMCの声明にその効果を半減させられた格好。こうした市場に対する効果の違いに、日米の政策当局に対する信頼、畏敬の念の差が表れている。
米国の金融緩和と、「孤独介入」に理解を示した中国との尖閣諸島問題に関連して一部で叫ばれる円高攻撃。菅内閣の「孤独介入」の効果にとって、まさに「前門の虎、後門の狼」。

今回のFOMCの声明で気になったのは、インフレに対する「最も適切と判断される水準をやや下回っている」というコメント。筆者はFRBウォッチャーではないので定かではないが、インフレに対するこうした表現はこれまで殆ど記憶にない。「インフレターゲット論」に対して否定的であったFRBが発した「最も適切と判断される水準をやや下回っている」とコメントから、実質的に「インフレターゲット論」を是認した様なイメージを受けるのは、考え過ぎだろうか。
「追加緩和する用意がある」と言うものの、FFレートの誘導目標が0~0.25%に据え置かれている現実に目を向けると、FRBが打ち出せる政策が限定されるのは明らかなこと。その中で打ち出された最も適切と判断される水準をやや下回っている」というコメントに「ドル安政策」の影を感じてしまう。

「82円が防衛ライン」と、タブーと言われている「具体的な為替水準」に「経験豊かな経済音痴官房長官」言及してしまった菅内閣は、米国に為替介入の理解を得る方針だが、FRBが「インフレターゲット論者」に転じたかの様なコメントを出したことを考えると、現実問題としてかなりハードルが高そうだ。

9月22日は、「プラザ合意」から丁度25周年。「プラザ合意」に基づいた協調介入よる「円高」で苦しめられた「被害者」日本と、「ドル安」によって「恩恵を受けた」米国。記憶は「恩恵を受けた者」より「被害者」に強く残ることを考えると、日本の方が米国より介入効果を高く見積もりがちであることは想像に難くない。しかし、「孤独介入」の効果に過度な期待を抱いているとしたら、再度円高の餌食になりかねない。「孤独介入」に踏み切ってしまった以上、日本は死ぬ気で介入を続けなくてはならない状況に追い込まれてしまっている。菅内閣は、「経験豊かな経済音痴官房長官」が発した「82円が防衛ライン」というタブー発言が、為替市場に地雷の如く埋め込まれたことを認識しておかなければならない。

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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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