「デフレ懸念」がもたらした8年ぶりの公示地価上昇

公示地価が発表され、リーマン・ショック後の地価下落が止まり、8年ぶりにプラスに転じたことが報じられている。

デフレからの脱却が果せたという見方も出来るが、角度を変えてみると全く異なった見方もできる。

「商業地では東京、名古屋、大阪の三大都市圏は2.9%上昇した。札幌、仙台、広島、福岡の主要4都市平均も5.7%上昇しており、大都市を中心に大きく伸びた」(23日付日本経済新聞 「公示地価、8年ぶり上昇」)

今回の特徴は、札幌、仙台、広島、福岡の主要4大都市平均が、三大都市圏を上回る上昇を見せたこと。

不動産の価値の源泉は、その不動産が生み出す収益(賃料)である。では、賃料は上昇しているのだろうか。

三鬼商事のオフィスレポーで、この1年間での各都市のビジネス地域の平均賃料を見てみると、次のようになる。

・札幌;+0.23%、仙台;▲0.68%、広島;+0.29%、福岡;+0.07%と、この1年間で賃料はほとんど上昇していない。

・三大都市圏をみても、東京;+0.43%、名古屋;+0.27%、大阪;▲1.14%となっている。

このように平均賃料が上昇しない中で、三大都市圏の「商業地」は+2.9%、主要4都市の「商業地」は三大都市圏を上回る+5.7%上昇しているのだ。

賃料収入が増えない、中には下落しているなかで不動産価格が上昇するというのは、投資家が自らの期待利回りを低下させて来ているからに他ならない。

それは、低成長が続き、10年までの国債利回りが全てマイナスになるなど、世の中全体の期待利回りが落ちて来ているからだ。

8年ぶりの公示地価の上昇は、政治的に「デフレからの脱却」を裏付ける材料として使われていくことになるだろう。しかし、現実には投資家の期待利回りの低下、つまり根強い「デフレ懸念」が公示地価を押し上げている面があることも見落してはならない。

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