ちぐはぐさと言葉の軽さ

菅政権の「ちぐはぐさと言葉の軽さ」と「弱腰」を見せ付ける一日だった。
日米外相会談でクリントン米国務長官から「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象になる」との見解を引き出し、その後の首脳会談でも「対中関係で日米が緊密に連携」することを確認したその直後、日本政府は中国の脅しに屈する形で、公務執行妨害で逮捕した中国人船長を処分保留で釈放することを決めた。しかも、「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を続けるのは相当でない」という、日本は「圧力に屈する国」「脅せば引き下がる国」という印象を世界中に植え付けてしまう、信じ難いコメント付きで。
これでは何のために米国首脳と尖閣諸島問題を協議したのか、全く分からない。こんなにもあっさりと日本の主権を放棄するのであれば、わざわざ貴重な首脳会談の時間を尖閣諸島問題に割く必要はない。今回の唐突な中国船船長釈放は、日米外相会談及び首脳会談の成果を全て掻き消す汚点となった。

今回の中国人船長の釈放は、「経験豊かな経済音痴官房長官」主導で行われたと言われている。この官房長官の問題点は、「言葉の軽さ」だ。「孤独介入」に踏み切った際には、「82円が防衛ライン」と政策当局として絶対に口にしてはいけないコメントを出し、今回の中国人船長釈放に際しても「日中関係を考慮」と発言させてしまった。政府の広報担当責任者でもある官房長官のこうした軽はずみな発言は、政府の信頼を失墜するだけでなく、様々な外圧を呼び込むことで国民を危機に晒しかねないものだ。実際、中国では準大手ゼネコン、フジタの社員4人が中国で拘束されるという事態が発生している。

「外圧に屈する国」と見られてしまった国の市場は不安定な動きを見せている。株式市場は中国政府が日本向けのレアアース(希土類)の輸出を全面禁止したとの報道もあり下落、日経平均株価は再び9,500円を割り込んだ。また、為替市場では日銀による為替介入の噂で一時85円台まで下落したが、野田財務大臣が介入に関して「ノーコメント」としたことから直ぐに84円台前半まで戻してしまった。

日米首脳会談が行われた日に日銀が介入に踏み切れば、為替市場に米国が日本の「孤独介入」に理解を示した印象を与える事が出来たかもしれなかったのに、「経済音痴内閣」はそのチャンスを棒に振ってしまった格好。それどころか、前回の「孤独介入」時に異例の記者会見まで行った財務大臣の「ノーコメント」という対応は、「孤独介入」が実施されなかったか、米国の理解を得られなかった可能性を市場に感じさせることで、今後の「孤独介入」の効果を低下させてしまう結果となった。

政治面でも、経済面でも「断固たる措置を取る」ことが出来ないことを内外に露呈してしまった日本政府。今後日本は、諸外国からのみならず、金融市場からも「外圧」を受け続け、国民は暫くの間それに屈する日本の姿を見続けなければならないことになりそうだ。

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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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