地銀の資産運用業務進出 ~「投資商品」から「販売商品」へ

「有力地銀同士が手を組み人材やノウハウを共有し、有望分野である運用資産ビジネスに乗り出す」(9日付日本経済新聞「横浜銀の投信運用会社 京都・群馬銀が出資へ」)

地銀が投信を販売するだけでなく投資運用会社にまで進出してきている。問題は長年自ら国内株式などの運用はしていない銀行に「共有」できる「人材やノウハウ」があるのかというところ。

「スカイオーシャンが運用する国内外の株式や不動産投資信託(REIT)などに分散投資する投信の販売を始める」(同)

ちなみにスカイオーシャンが運用する3本のファンド(ファンドオブファンズ)の基準価額は「コア安定」9245円、「コア成長」8893円、「サテラップ」9865円。

日銀のマイナス金利で低下した預金金利を下回り、マイナス利回りになっている。

マイナス金利下で安定的にプラスのリターンを上げていく「人材やノウハウ」を持っているのであればそれは魅力的だし、有力なビジネスとなる。

しかし、異次元の金融緩和によって本業で収益を確保できないから資産運用業務という邪な戦略は、銀行の経営上はあるべき選択肢だが、顧客にとっては大きな迷惑でしかない。

本来、顧客にとって「運用商品」であるはずの投資信託が、金融機関にとっての「販売商品」に成り下がってきている。

これが20年間「貯蓄から投資へ」というスローガンが実現しない大きな要因であり、私事だが筆者が投資信託業界に見切りをつけた最大の理由。

「運用残高が積み上がれば、手数料収入の拡大が期待できる」(同)

自前で投資信託運用会社を設立し販売していけば、販売手数料及び信託報酬のほとんどを自社及びグループで独占できる。しかも「自己責任原則」という都合のいいルールのおかげで「運用損は顧客持ち」で。

銀行にとって手に出来る販売手数料と信託報酬は魅力的だが、手数料収入は両方合わせたとしても販売初年度に4.5%程度で、次年度からは1.5%程度に過ぎない。本当に金融機関が安定的にプラスのリターンを上げていく「人材やノウハウ」を持っているのであれば、銀行の資金(自己ポジション)で運用した方が大きな収益を得られるはずである。

銀行が資産運用会社まで設立して最大で4.5%にしかならない収益を追い求めるということは、運用で4.5%の収益を上げていくことが出来ない可能性が高いことの証明に他ならない。

4.5%の運用収益を上げていく自信のない金融機関に、大切な資金を預けるという行為が合理的なものなのといえるのだろうか。

個人投資家の方には、投資信託購入を進められた際には「安定収益を上げられる人材とノウハウをお持ちなのであれば、なぜ銀行自身の資金で運用しないのですか」と質問して頂き、その回答に納得してから購入することをお勧めしたい。


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