日銀の「投資収益デフレ政策」が、投資家を「恐怖に対する報酬」に走らせる

「欧州連合(EU)からの離脱を問う23日の英国民投票を前に、金融市場で先行きに慎重な見方が増えている。逆に投資家のリスク志向が目立つのが国内の証券化市場だ。運用の中心となってきた国債のマイナス金利と支払いを約束した負債側のプラス利回りの板挟みで、リスク投資に傾斜せざるを得ない投資家の姿には危うさが漂う」(18日付日本経済新聞「危ういプラス利回り追求」)

リターンの源泉がリスクであることは投資の基本で言うまでもないこと。したがって、利回りを上昇させる際には、何かしらのリスクをとるのは当然だ。

しかし、日本では「リターンの源泉はリスクだ」ということは繰り返されているが、「リスクの源泉がリスクだ」ということはほとんど指摘されることはない。

しかも、リスクをとることの報酬としてリターンを得られる確率と、リスクを被る確率は同じであるという基本的なことは一切触れられないため「リスクをとればリターンが上げられる」かのような誤った考え方まで芽生えてしまっている。

さて、今のような低金利下で投資家が利回りを上げるためにとるリスクとしては、「信用リスク(クレジット)」と「レバレッジ・リスク(証券化商品)」が一般的だ。

これらのリスクをとることによって投資家は表面的には利回りを向上させることが出来る。しかし、「信用リスク」や「レバレッジ・リスク」をとることで得られる収益向上は、例えていえば「不発弾」を抱えるという「恐怖に対する報酬」でもある。

「不発弾」は爆発しなければ単なる物体だが、何かの拍子に爆発を起こす可能性のあるもの。

これらのリスクの恐ろしいところは、「価格変動リスク」などと違って「ヘッジが出来ない」こと。「不発弾」が爆発する可能性が高まったら引き取り手はいなくなるため、リスクが顕在化した際には投資家は大きな損失を負わなければならない。

これまでも著名なヘッジファンドを含め数多の投資家が「信用リスク」と「レバレッジ・リスク」に突っ込んでいき破綻して来ている。

「投資家の関心は国内の証券化商品にも向かう。大和証券の松下浩司金融市場調査部副部長によると、2016年度の発行額は前年度比2~3割増える見通し。リーマン危機で需要が激減する前の07年度以来の水準だ」(同日本経済新聞)

証券化商品の重要なポイントは、投資商品の利回りが高いことが原資産の収益が高いことを意味するわけではないところ。

利回りの高い投資商品はトランチングという金融技術によって人為的に生み出されたものでしかない。

今後CLOなどの証券化商品の発行が増えていくとしたら要警戒。安倍総理のいうリーマン・ショック前と似た状況になる。

中央銀行の誤った金融政策が国債の約8割をマイナス利回りに沈め、それによって「とにかくプラス利回り」を求めなければならない投資家が「恐怖に対する報酬」を得る方向に追い込まれ、それが社会の「金融的リスク」を高めているとしたら、本末転倒。

デフレに逆戻りすることを恐れる中央銀行が「投資収益のデフレ」を起こし、世の中からプラスのリターンを消すことで投資家を「恐怖に対する報酬」に走らせる金融政策を深堀する必要がどこにあるのだろうか。


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