毎回繰り返される「最優先課題は経済だ」

「最優先課題は経済だ。デフレからの脱出速度を最大限に引き上げる」

こうした政権目標を安倍総理は何回繰り返すつもりなのだろうか。

「政治と金」に対して厳しい態度をとる国民も、「政治と経済」の話になると途端に政権に優しい態度を見せるのも不思議な話。

3年前に「政治は結果なんですよ」と豪語していた安倍総理は、3年以上も同じ政権目標を掲げ続けていることに何の後ろめたさも感じないのだろうか。

日本社会の最大の弱点は、金融・経済を株価や円相場など「相場」で測ろうとするところだ。

1か月半前、英国のEU離脱ショック後の株価下落がリーマン・ショック以上だったことを以て、専門家やメディアが「リーマン・ショック以上」と騒ぎ立てたのも記憶に新しいところ。地上波テレビのインタビューで「株価や円相場の下落幅を以てリーマン・ショック以上だと決めつけるのは如何なものか」という発言をしたが、そこは全てカット。当時のメディアにとっては「英国のEU離脱ショック」は「リーマン・ショック以上」でなければ価値がなかった。

株価や円相場などといった、相場から入ろうとするところに、金融・経済を見誤る大きな原因がある。

安倍政権が誕生した当時、「大胆な金融緩和」は優先順位の高い政策だった。しかし、それから3年以上が経過した今、金融・経済を取り巻く環境は全く違って来ている。生き物とも言われる経済において、あるとき優先順位が高かった政策であっても、それが何時までも重要な政策であるとは限らない。

現在実施されている「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は、日本経済が壊れてしまったこと、アベノミクスの失敗をを覆い隠すためのものでしかない。そして、今を取り繕おうとすればするほど、将来世代に残すツケは膨らんでいく。

「デフレからの脱出速度を最大限に引き上げる」という目標は結構だが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を深掘りなしで行わなければならない。

デフレからの脱却が道半ばであろうとも、「金利」と「超過準備預金」の正常化を目指さなければならない。それによって円高・株安が起きるかもしれないが、先送りすればするほどその衝撃が大きくなる可能性が高いことを忘れてはならない。

これはイデオロギーや支持政党の問題でななく、金融・経済問題。従って誰がやっても直面する問題。

金融は一般の人には馴染みのない分野かもしれないが、国民が、壊れてしまったものは何もなかったことには出来ないという認識と、金融・経済を正常化するために相当なコストがかかるという認識を持たない限り、日本では何時までも「最優先課題は経済だ」という状況が続くことになる。

「代案」があっても、円高・株安を招かずに金融・経済を正常化させることは不可能だからだ。それは「代案」が間違っているからではなく、もともともの政策が間違っていたからだ。政策対応で異なって来るのは、正常化に向けての相当なコストを、何時、どのような形で表面化させるのか、というところ。

政策の効果を「相場」で測ろうとする限り局面打開は出来ない。

アベノミクス開始から3年半以上が経過した今日でも「結果」が出て来ないということこそが、「アベノミクスは道半ば」なのではなく、「アベノミクスは誤った処方箋に基づいた政策だ」ということの最大の証拠なのである。

アベノミクスが生み出す悲劇を最小化するためには、金融・経済の効果を「相場」で判断するという習慣を捨て去れなければならない。

安倍総理も国民も、日本経済の現状は、金融政策が演出する「相場」では回復させることは出来ないことを認識することが日本経済にとっての「最優先課題」だ。
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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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