投資信託は「運用商品」に非ず

「投資家に毎月分配金を払う投資信託のうち8割が、原資の過半を元本を取り崩して充てていることが分かった」(1日付日本経済新聞)

久しぶりの毎月分配型投信に対する批判的な記事。

筆者は毎月分配型投信ブームを作った会社で、株式やオプションを用いたヘッジファンド的運用を行っていた経験があり、最初から毎月分配型投信は運用商品とは言えないと思っている。

そもそも毎月分配型投信は、運用で存在しているのではなく投資信託の会計ルールによって存在し得る商品だからだ。極論すれば、毎月分配型投信には運用能力など必要がない。必要なのは、毎月分配型投信を組成できる運用対象だけ。

とはいえ、「分配原資の過半を元本を取り崩して充てている」という批判も無責任だと思っている。それはほとんどの批判が、投資信託の歴史的経緯や元本認識を含めた会計ルールを無視したもので、一般投資家に対する正しい情報だといえないからだ。

運用商品としてあるべき姿でない商品だということに関しては同感だが、投信の会計ルールに則っているいる限り「元本を取り崩している」という批判は的外れだともいえる。

よく言えば、毎月分配型投信というのは、融資と投資を組み合わせたハイブリッド型。

問題は、毎月分配型投信の仕組みなどを販売会社の担当者が正しく理解しているかだ。小生が在籍していた時代に、会計ルールを含めて毎月分配型投信の仕組みとその問題点を理解している人はほとんど存在しなかった。

「毎月分配型投信は『年金生活の足しになる』と中高年層の投資家を中心に人気がある」(同日本経済新聞)

毎月分配型投信が投信の主要商品として登場してからほぼ20年がたった今、2000年当時と同じようなコメントが加えられているということは、状況はほとんど変わっていないことの証明であり、顧客に対して商品性が正しく伝わっていないことの表れ。

こうした状況の原因が、顧客サイドの知識に原因があるのか、販売サイドの知識や伝え方に問題があるのか。個人的にはそこが大きなポイントであるように感じている。

投資信託運用経験者OBという立場から、一般の方にアドバイスしたいことは、「投資信託は『運用商品』である」という幻想を抱かないことだ。

投資信託は「運用商品」ではなく「販売商品」である。

これが投資信託会社を含め、長年資産運用に携わってきた業界OBが抱いている結論。「販売商品」を「運用商品」であるがごとく販売し、不幸にして顧客がそう思い込むことから、様々な誤解や問題が生じてしまうのだ。投資信託は「販売商品」だと考えれば、投資家の金融リテラシーも向上するように思えてならない。

近いうちに、投資信託に関するセミナーを開催して、業界の内側を含めていろいろな情報を提供していきたいと考えているので、乞うご期待。

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