株式を購入すること≠投資

日本の投資教育の欠点がよく現れているコラムといえる。

「100万円ためることにこだわるのはむしろ、私たちにとってリスクがあるかもしれません。例えば、AさんとBさんがいて、Aさんは投資は少額からスタートできることを知っており、『毎月1万円の積み立て投資をゼロから始め、100カ月すぎた』とします。

 一方、Bさんは100万円ためてから、と考え『まずは月1万円ずつ定期預金をし、100カ月たったら投資をスタートする』と決めたとします。

 100カ月、つまり8年以上も先のことですが、結果はどうなるでしょう。相場には上げ下げがあるので運用成績はAさんがBさんより悪い場合があるかもしれません。しかしながら、数字は別にしてBさんはAさんにかなわないことがあります。それは『投資の経験』です」(11日付日経電子版 「投資デビュー 「100万円ためてから」に理はない」

「株式や投資信託を購入する」ことと、「投資」は似て非なるもの。株式を購入して日々の株価に敏感になったとしても、投資や金融の知識が身に着くわけではない。

貯蓄額は積立期間=時間に比例するが、投資に関する知識は時間に比例するものではない。

投資に対してどのような認識を持つか、という違いによって結果は全く異ってくるからだ。認識が間違っていれば10年投資しようが、20年投資しようが目標に辿り着くことは出来ないし、認識が正しければ2年、3年という短期間で目標に近付くことも不可能なことではない。

このコラムが指摘するように、積み立て投資を単純に続けるだけで「投資の経験」が得られるわけではない。

少なくとも毎月1万円の積み立て投資を続ければ「投資経験」が身に着くと思い込んでいる人と、毎月1万円ずつ貯金して100万円をためるまでの100か月「投資の勉強」をしてから投資を始める人との差はほとんどないと考えておいた方がいい。

株式を売買することだけで「投資の経験」が増え、それがリターンの源泉になるのであれば、投資信託のファンドマネージャー達が投資家の期待を裏切ることはないはずだ。

小生は投資目的で株式も債券も兆円単位で売買してきた経験を持っているが、それでも「投資」は難しいのが現実。重要なことは「株式を購入する」ことと「投資をする」ということはイコールではないという認識を持つことだ。

「注意したいのは証券会社や銀行による勧誘です。担当者は営業目標を達成しなければなりませんから、まとまった金額を投資してくれる人を探しています」(同日経電子版)

証券会社や銀行の勧誘に惑わされてはいけないのは、彼らが「まとまった金額を投資してくれる人を探している」からではない。「投資」と称して株式や投信を購入させようとしているからだ。

経験からいえることは、証券業界で最もありがたい客は、相場が上がろうが下がろうが株式を購入し続けてくれる人だ。

こうした観点からみれば、このコラムの主張は、証券会社や銀行の営業マンと根本的に同じだといえる。

違和感を覚えるのは、研究所で投資の研究をしてきたと思われる著者が、「投資経験」の重要さを強調していることだ。この著者は研究を通して毎月1万円の積み立て投資するよりも貴重な「投資経験」を得たのだろうか。もしそうなのであれば積み立て投資よりも投資研究の重要性を説くべきのように思えてならないが…。

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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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