FC2ブログ

「出口」の検討を控える日銀に誕生する「リフレ派」の副総裁

「2%の物価安定目標を達成する前に出口戦略の発動はあり得ない」「(2%の物価安定目標の)達成が難しいなら追加の緩和策を考えざるを得ない」(5日付日経電子版 「若田部氏『必要なら追加緩和』 日銀副総裁候補が所信」

次期副総裁候補の若田部早大教授は5日の国会で積極的な金融緩和を続ける考えを表明した。

「2019年度ごろに出口を検討していることは間違いない」

若田部教授に先立つ2日の国会で所信表明を行った黒田日銀総裁は、このように述べ、1年後には出口を検討することになるという見通しを示していた。

1年後には「出口論」を検討しなければならない今の日銀に、「年間80兆円をめどとする長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の90兆円への引き上げや物価上昇目標の2%から3%への変更」を主張する副総裁が本当に必要なのだろうか。

ご本人は異次元の金融緩和の継続を強調し、出口戦略の話を封印することが日本経済にプラスになると信じ込んでいるのかもしれないが、こうした柔軟性のない考えを持った人が日銀の副総裁に就任予定であることこそが金融市場の波乱要因だといえる。

因みに政府と日銀が物価目標を2%に定めたのは、世界の主要国が2%を物価上昇の目途に置いていることが大きな理由である(表向きだが)。しかし、この「2%の物価上昇」に関しては日米欧で若干の定義の差がある。

FRBにとっての「2%の物価上昇」という目標は「2%を中心とした水準」ということであり、ECBにとっては「2%を上回らない水準」である。これに対して日本では「安定的に2%を上回る」ということになっている。つまり、表面的な「2%の物価上昇」という目標は日米欧で同じであっても、実際には日本が掲げているハードルが一番高い。そうした状況の中で前年同月比0.9%の上昇というのは「道半ば」よりも「程遠い」というのが実態である。

さらに日米欧では「2%の物価上昇」という目標を測る物差しが違っている。欧米の中央銀行が物価を測る物差しとしているのは、FRBがPCEコアデフレーター、ECBがコアCPIである。日銀もコアCPIを物価を測る物差しとして利用しているが、問題は「コア」の定義である。

FRBが利用しているPCEコアデフレーターも、ECBが利用しているコアCPIも「生鮮食品とエネルギーを除いた」ものであるのに対して、日銀が利用しているコアCPIは「変動の大きい生鮮食品を除いた」ものであり、エネルギー価格は含まれている。欧米と同様に「生鮮食品とエネルギーを除いた」CPIは日本では「コアコアCPI」と言われるものである。

この「コアコアCPI」の昨年12月の前年同月比上昇率は僅か0.3%であり、日本は「未だデフレから脱出出来ていない状況」にある。「もはやデフレだと言えない状況を作り出した」というのが嘘なのか、2019年度ごろに出口を検討する状況が訪れるという見通しが間違っているのだろうか。


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

近藤駿介 Official Site

各種お知らせ等はこちらから

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR