「異例な程不確か」な経済下での「最も確からしい」こと

経済だけでなく、金融市場も「異例な程不確か(unusual uncertain)」な展開になって来た。中国を筆頭に新興国の更なる金融引き締め懸念などから、新興国の株式市場が不安定な展開に転じて来たことに加え、ユーロも欧州の財政・金融不安の再燃により大幅な下落となった。

金融市場がこうした「異例な程不確か」な展開に転じたのは、金融市場で過剰にまで膨らんだ米国の量的緩和(QE2)に対する期待が急速に萎んだからである。経済指標が米国経済が「予想ほど悪くない」ことを示唆すると共に、ガイトナー米財務長官が繰り返し「強いドル」を表明し始めていたにも関わらず、市場参加者の多くはQE2に伴う「ドル安」を盲目的に信じ込み、必要以上にドル・キャリートレードにのめり込んでしまったようだ。

本日のBloombergでは、「外国為替のキャリートレードによる損失が、2年余りで最大になった」ことが報じられている。「欧州ソブリン債危機が深まり、ヘッジファンドなど大型投機家はユーロ上昇を見込む取引の解消を余儀なくされている。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのキャリートレード指数は11月に9.7%下落した。下落幅は2008年10月以来で最大。キャリートレードは低金利通貨で借り入れて高利回り資産に投資するが、比較的高利回りだったユーロがドルに対し11月に6.9%下落し、損失につながった。」
この報道からは、足下の金融市場の「異例な程不確か」な展開は、ドルの反転による、ドルを調達通貨としたドル・キャリートレードが解消によって引き起こされたことが見て取れる。

月が変わり、ヘッジファンドの決算という日程面からの需給の歪みが薄まることを考えると、金融市場は少し落ち着きを取り戻す方向に動くのかもしれない。欧州の財政・金融危機に北朝鮮による地政学的リスク、米国の景気鈍化懸念に新興国による利上げ懸念…。金融市場の見通しは、「異例な程不確か」であり、一つの方向にベットし難い状況にある。

昨今の投資の分野において「最も確からしいこと」は、スピード感は別として、「元高が進む」ということである。先日、「米著名投資家のジョージ・ソロス氏が11月初め、アジアで初めてとなる香港事務所を開設する。運用資産規模は80億~100億米ドル(約6,520億~8,150億円)に上り、成長市場と見込む中国を中心としたアジア向け投資の拠点とする構えだ」というニュースが報道された。
ジョージ・ソロス氏のこうした投資行動は、「元高が進む」ことを前提とした長期的なドル・キャリートレードである。QE2に過剰にベットした短期的なドル・キャリートレードはあえなく縮小を迫られたが、「元高が進む」ことを前提とした中長期的なドル・キャリートレードは、金融市場の注目を必要以上に集めることなく、じわじわと進行して行くのかもしれない。




スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

メルマガのお知らせ

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR