2019/08/21
「日本化」を恐れる米国が始める「逆トリクルダウン」
「米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは19日、『株主第一主義』を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組むと宣言した」(20日付日経電子版 「米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言」 )個人的に気になっている記事。「ビジネス・ラウンドテーブル」は日本の経団連のような存在。
具体的にどのような動きが出てくるのかは未知数だが、この宣言が実行に移されれば、ミクロ的には自社株買の減少とコスト上昇による企業収益の減少を通して株価に下押し圧力がかかることが想像される。
マクロ的には、利益が従業員他に多く分配されることによって個人消費に上方圧力が生じることで景気にも上方圧力が生じることが期待される一方、経営者や株主への分配の減少による景気下押し圧力も生じると思われる。
税金以外の方法で富裕層から一般国民に利益が移転されることが、社会やマクロ経済にプラスに働くのかを確認する壮大な実験となる。
期待されるのは、企業が然るべき社会的コストを負う方向に動けば、環境などに対する動きは加速するかもしれないところ。
アベノミクスで一時注目された「トリクルダウン理論」が、日本で現実的な「理論」ではなく非現実的な「仮説」に過ぎなかったことが明らかになるなかで、「日本化」を恐れる米国から「逆トリクルダウン」に取り組む動きが出てきたというのはとても興味深いところだ。
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