2019/09/08
マイナス金利政策と金融リテラシー
「利回りがマイナスの債券の残高は世界で約17兆ドル(約1800兆円)と年初から2倍になり、いまや全体の約4分の1を占める」(8日付日経電子版 「水没する世界の金利 債券の4分の1、マイナス圏」)因みに日本国債の発行残高は約900兆円。その日本国債は残存15年までは全てマイナス利回りになっている。財務省が発表している「普通国債残高の残存期間別内訳(3月末時点)」には「15年以下」という分類はないが、「20年超」が11.6%で、「20年以下」88.4%であることから、「15年以下」は概ね80%程度だと推察される。
これに基づくと、発行残高が900兆円の日本国債の720兆円がマイナス利回りということ。つまり、世界のマイナス利回りの債券のうち4割は日本国債が占めていると思われる状況にある。
因みに日銀は8月末時点で発行残高の5割を超える480兆円の国債を保有している。つまり、日銀は世界のマイナス利回り債券の4分の1程度を保有しているのだ。
マイナス利回りの国債が「いまや全体の約4分の1を占める」ということだけでなく、「マイナス利回りの国債の4割を、世界の国債市場のシェアが18.8%(WGBI ベース)程度の日本国債が占めている」ということ、「日銀が世界のマイナス利回りの債券の4分の1を保有している」ことも報じてもらいたいものだ。
こうした中でも黒田日銀総裁はマイナス金利の深掘りを模索し、さらなる異常事態を招こうとしている。
金融的にいえば、マイナス金利政策は全く意味がない。
確実にいえることは「マイナス金利政策が日本人の金融リテラシー向上の大きな妨げになっている」ということ。
逆説的にいえば、国民の金融リテラシーを低く保つことがマイナス金利政策深掘りの条件になっている。
深読みすれば、黒田日銀総裁がマイナス金利政策の深掘りを目指すのは、国民の金融リテラシーを低い状態に保ちたいという思いを持っているからかもしれない。
その一方、国民にとって最悪なのは、黒田日銀総裁の金融リテラシーが低いことがマイナス金利政策深掘りを目指す原因となっていることだ。今のところ可能性は「50:50」程度のように思えるが…。
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