「日常生活を維持する」という貢献の仕方

ここ数日、計画停電が見送られている首都圏の住民が感じていることは、「日常」のありがたさ、大切さではないだろうか。当り前と思っていたものを奪われた「非日常」生活の不便さを思い知らされた首都圏の住民にとって、停電を気にしないで済む生活、(運行本数は少ないものの)列車が普通に運行される生活は、かけがえのないもの。

「日常」のありがたさを身に沁みて感じた東京都民に対して、降ってわいたように湧きあがったのが「花見自粛」ムード。小さな節電の積み重ねも大切なことだが、「花見自粛」は都民のささやかな「日常」を奪うもの。花見はプロ野球のナイターの様に、半年間継続的に大量の電力を使うイベントではなく、2週間程の限られた期間の数日間、然程大量の電気を使わないささやかなイベントである。こうした小さな節電を理由に、都民から「日常」を奪うのは、日本にとって必ずしも得策ではない。

被災地の方が「非日常」を強いられる中、浮かれた様な行為は慎むべきである。しかし、経済の世界では、「皆が貯蓄しようとすると、誰も貯蓄出来ない経済になる」という言葉がある。これは、多くの人が貯蓄に励んで消費を控えると、経済全体が縮小し、その結果貯蓄をしようとする人達の所得も減って誰も貯蓄出来なくなる、という意味である。
この言葉を今回の震災に当てはめると、「非日常」を強いられている被災地に合せて日本中が「日常」を放棄しまえば、結果的に被災地の住民により長期間の「非日常」を強いる結果になりかねないということ。義援金を送るという目に見える貢献も大切だが、「日常生活」を維持出来る国民が「日常」を維持するということも、被災地復興に対する目に見えない大切な貢献であることを忘れてはならない。

「景気は気から」ということだろうが、テレビでは連日「日本は強い国」「日本の力を信じてる」という、励ましのメッセージが繰り返し流されている。しかし、こうした論理的根拠の乏しいメッセージを垂れ流すよりも、「日常生活」を維持することが出来る国民に「日常生活」を維持して貰うことの方が、被災地及び日本の経済復興にはずっと効果的である。
日本を早期に復興させる為にも、「景気は気から」という「気」だけでなく、「皆が貯蓄しようとすると、誰も貯蓄出来ない経済になる」という経済学が教える「論理性」の重要性も再度認識するべきである。




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近藤駿介

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