FOMC ~ 予想通りの結果の中の不確実さ

注目されたFOMCの結果は、「QE2の予定通りの打ち切りと事実上のゼロ金利政策の継続」と、余りに予想通りでやや拍子抜けする格好となった。
金融市場は、バーナンキFRB議長が記者会見でガイトナー財務長官の「強いドル」発言に同調する発言をしたにも拘らず、FOMCの予想通りの結果を「FRBがドル安にお墨付きを与えた」と受け取り、ドル安に動き出した。ドルは対ユーロでは2009年12月以来の安値、豪ドルに対しては連日で1983年の変動相場制移行後の最安値を更新。また、為替市場で最下位争いを繰り広げる円に対してもドルは81円台前半まで売り込まれた。

「QE2の予定通りの打ち切りとゼロ金利政策の継続」が予想通りであったのに対して、「FRBのバランスシート規模」に関してはやや曖昧。日経などは「バーナンキFRB議長は償還期限が来た国債やMBSの投資は続け、保有証券額を維持すると明言した」と報じているが、Wall Street Journal 日本版は「FRBは住宅ローン担保証券(MBS)の元本支払いを米国債市場に再投資し続ける方針も示した」と、再投資はMBSに限られるかのように伝えている。もしこのWSJの報道通りFRBが国債償還分の再投資は行わないとしたら、FRBのバランスシート規模が維持されるとは限らない。

また、バーナンキFRB議長は記者会見の中で、FOMCの声明文で「今後も長期間」とした政策金利を異例の低水準に据え置く期間について、これは今後「2回ほどの会合」を意味する公算が大きいと述べたと報じられている。次回のFOMCは6月21日~22日、次々回のFOMCが8月9日であることを考えると、政策金利が異例の低水準に据え置かれることが確実視される期間は、実際にはそれ程「長期間」ではない可能性があるということになる。さらに、バーナンキFRB議長は金融緩和政策の出口に向かっての第一ステップとして、償還債券の再投資を止めると明言していることを考え合わせると、QE2後にFRBのバランスシートの規模が維持される期間は市場の期待よりも短い可能性がある。

バーナンキFRB議長の発言で興味深かったのは、「QE2の効果」に関する部分。バーナンキFRB議長は、「QE2は全ての問題を解決し一夜で完全雇用を回復させる万能薬ではなく、経済を正しい方向に戻すだけのものである。われわれが期待し想定した範囲でみれば、プログラムは成功したと思う」と、QE2は「成功」との認識を示した。その上で、QE2を継続しない理由について、「現段階ではトレードオフの魅力度が低下しているからだ。インフレは上昇し、インフレ期待もやや高まった。ある程度のインフレリスク増大を伴わずに雇用の持続可能な改善が実現できるかは不透明だ」と、QE2とインフレの因果関係を認める様な発言もしている。
インフレを「一時的なもの」とする一方で、QE2とインフレの因果関係を認めるかのような発言をするところに、バーナンキFRB議長が金融政策の舵取りに腐心していることが滲み出ている。もしバーナンキFRB議長がQE2とインフレの因果関係を認識しているとしたら、「一時的」としたインフレがさらに進行することになれば、QE2で肥大化したFRBのバランスシートを、長期間放置しておくとは考え難い。

金融市場は「予想通りのFOMCの結果」を、「ドル売りに対するFRBのお墨付き」と受け取ったようだ。しかし、バーナンキFRB議長の記者会見での発言は、超金融緩和政策の出口に向けての一歩が踏み出されるまでの期間が、金融市場が期待するほど「長期間」ではない可能性を感じさせるものでもあった。



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近藤駿介

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