メルトダウン~危機的な状況

「憶測は失敗の母である」(ウエザンの決定保留の法則)

東京電力は12日、福島第1原子力発電所1号機で、燃料棒が原子炉の底に崩れ落ちた可能性があると発表した。冷却水の水位はこれまで燃料棒の上部から1.6m~1.7m下にあるとされていたが、復旧した水位計が示した水位は上部から5m以下。燃料棒が完全な棒の形で残っていれば、すべてが露出する水位であった。

東日本大震災から2カ月を経過した11日に、最も復旧作業が進んでいると報じられたばかりの1号機は、実際には東電が4月「溶けた燃料棒が原子炉下部に落ちること」と定義した「メルトダウン」を起こしていた。東電は、今後、原子炉の水位を回復するため注水量を増やす方針だが、最も復旧作業が進んでいる1号機で「メルトダウン」が起きていたことが明らかになったことで、「工程表」の大幅な見直しを迫られることになった。

政府の邪な動機で東電に無理矢理作成させた「工程表」が、大幅な修正を迫られることになることは始めから分かっていたこと。そもそも、事態を正しく把握しない「憶測」の段階で作成された「工程表」など、政府と東電合作の「夢物語」に過ぎず、現実の世界で通用する可能性が乏しいことは誰の目にも明らか。(参考⇒政府の対応の拙さを隠蔽するための「寝ぼけた工程表」)

「メルトダウンは起きていない」「燃料棒の露出は一部」という「憶測」に基づいて政府と東電が二人三脚で演出して来た「夢物語」は、皮肉にも最も復旧作業が進んだ1号機の水位計の復旧によって、虚しく打ち砕かれてしまった。菅首相がリーダーシップを演出する為に無意味に作成させた「工程表」の運命は、まさに「唯春の夜の夢のごとし」。

原発を推進して来た政治家も、事業者である東電も、原子力の専門家と称される人達も、結局のところ「原発事故」に関しては殆ど経験を持たないアマチュアである。ましてや、「原発事故」が発生した際の炉心など、危険過ぎて誰も見たことのないものである。実際に見たり、経験したりしたことのない専門家達が「憶測」に過ぎない理屈をこねまわし、政治家が保身の為に「夢物語」を書いているようでは事態の収束など期待する術もない。願わくば、原発事故を利用してその地位に居座ろうとし続けている首相の「夢物語」も、「工程表」と共に消え去って貰いたいものだ。

「メルトダウン」が明らかになったことで、専門家から「圧力容器に穴が開いているなら、もう打つ手がない」と危惧する声も上がっている。「憶測」に基づいて作成された「工程表」は、「時間軸見直し」どころか、「原発の安全確保」という「目的」自体に「黄信号」がともってしまった格好。保身に走る政府の「夢物語」を聞かされている間に、日本は「危機的な状況」に追いやられてしまった。

「危機的な状況とは『全て無かったことにしよう』と言えない状況である」(ファーガソンの教訓)




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