「最も安全な通貨」卒業のための必要条件

米国の危機的状況は回避されたが、日本の危機的な状況は改善されなかった。

オバマ大統領は31日夜、ホワイトハウスで「上下両院の両党指導部が赤字を削減しデフォルトを回避する合意に達した」と発表。同時に「米議会において非常に重要な投票を残している」と下院での採決はなお流動的であると強調しつつも、「デフォルト回避が可能になることだ」と事態の進展を表明した。

米国の債務上限問題が大枠で合意に達したというニュースを受けた金融市場の反応は、ドル買い戻し、株式市場と原油価格は上昇、金は下落と、「予想通り」の展開なった。

そんな中「予想通り」と行かなかったのは、円高。財務上限大枠合意のニュースを受けて一旦は1ドル=78円まで下落した円は、予想より早く上昇、NY時間では一時76円20銭台まで上昇してしまった。

こうした円高に対しては、債務上限問題大枠合意は出来たものの、議会で採決出来るかは流動的であること、米国国債格下げへの懸念、米国経済鈍化懸念等「外部要因」が挙げられている。
しかし、この様に円高の原因を「外部要因」に求めている限り、円高は行きつくところまで行く可能性は否定出来ない。円高の原因が「外部要因」にあるのであれば、「ドル安」になるはずである。しかし、主要6通貨に対するドル指数は74台と底堅い動きになっており、「ドル安」とは言い難い動きとなっている。

米国の格下げなどは尤もらしい理由だが、米国債がAAAから格下げされるとしても、米国債よりも格下であるAA- の日本国債に大量に資金が流れ込むという見方は、説得力としては余り高くない。こうした理に適わない資金シフトは、あったとしても一時的なものに留まる可能性が高い。

今回の米国債務上限問題大枠合意で浮かび上がって来たのは、日本の特異性である。米国ではデフォルトを回避するためにオバマ大統領は共和党の主張を受け入れ、民主党の増税案を取り下げた。また、欧州では増税を含む緊縮財政に反対してゼネストも起きている。これに対して日本は、復興財源としての臨時増税に有権者の60%が賛成するという世界で稀に見る「増税に寛容な国」となっている。これは、日本の債務は増税によって守られる可能性が高いことを示すもので、この面でも円は「最も安全な資産」としての地位を高めている。

円高の根本的な要因は「外部要因」ではなく、供給量が相対的に少ないという「内部要因」にある。⇒(参考)円高は無策な日銀が演出する「人災」である

要するに、日本独自で解決出来る可能性のある問題である。しかしながら、無策な日本の政策当局は常に円高要因を「外部要因」に求め、日本は「為す術を持たない被害者」であるという立場を演出し続けている。ドル円に限れば、円高は2007年6月から既に4年以上続いている。日本の政策当局は、この間ずっと「外部要因」が悪く、為す術がなかったと主張し続けるのだろうか。

政策当局が無意味な「為す術のない被害者」を演じることを止めて「内部要因」に目を向け、有権者が「増税」に対してもう少し厳しい視線をむけ「増税に寛容な国」というレッテルを取り去ることが、日本が「最も安全な通貨」を卒業するための必要条件である。



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近藤駿介

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