難解なFOMC ~ バランスシートの規模変更をためらったFRB

難解なFOMCだった。

FRBは、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に声明を発表し、異例の超低金利政策を「少なくとも2013年半ばまで継続する可能性が高い」と表明。超低金利政策の期間について「長期間」との表現から「少なくとも13年半ばまで」に変更した。

今回の超低金利政策の期間を明示することは、中長期金利の低下を促す政策だと言われている。しかし、その効果のほどは定かではない。この効果が定かではない一見どうでもよさそうな「長期間」から「少なくとも13年半ばまで」との表現変更に関してFOMCメンバーの意見が割れ、グリーンスパン議長時代の92年11月以来ほぼ20年ぶりとなる3人の理事が反対票を投じる事態となった。

理屈から言えば、短期金利は政策金利の決定権を持つ中央銀行がコントロールすることは可能だが、中長期金利(イールドカーブの形状)を中央銀行が直接コントロールすることは出来ない。今回の「長期間」から「少なくとも2013年半ばまで継続する可能性が高い」というような中央銀行による「時間軸表明」には、期間の短い金利から低下させる「イールドカーブのフラットニング効果」があると言われている。しかし、これは低成長、低インフレが「長期間」続けば自然とそうなるもので、中央銀行の「時間軸表明」によってそれを促すことが出来るという理屈の説得力は高くない。

こうしたFOMCでの曖昧な決定は何を意味するのだろうか。
今回のFOMCでの決定の特徴は、FRBの「バランスシートの規模の変更」を伴わない「時間軸表明」だけが決定されたこと。「時間軸表明」と共に有力視されていた、FRBのバランスシートを縮小させる効果を持つ「準備預金付利金利のゼロ%への引き下げ」と、バランスシートを拡大させる「QE3」は、「必要なら追加金融緩和を実施する準備は出来ている」という文言を加えたのみで実施は見送られた。

こうした今回のFOMC決定から想像されることは、FRBが自らの「バランスシートの規模の変更」による効果とリスクについて測りかねており、「バランスシートの規模の変更」に慎重になっていること。今回のFOMCで、自らのバランスシートの規模に影響を及ぼさない「時間軸表明」のみを打ち出したのは、FRBが自らの「バランスシートの規模の変更」に対して抱いている懸念の表れである。

FRBが自らの「バランスシートの規模」を現状で維持するということは、政策金利が極限まで下げられた今では、中央銀行が直接景気に関与しないことを意味するもの。財政が規模の面で限界に達した今、FRBがバランスシートの拡大に限界を感じ始めているとしたら、米国の政策当局はどの様にして景気浮揚を図るのだろうか。

米国が「政策的手詰まり感」を強めることは、世界経済の回復を前提とした「コバンザメ作戦」をとり続ける日本には逆風である。一方、もしFRBが「バランスシートの規模の拡大」に慎重になっているとしたら、日銀がバランスシートを拡大することで資金供給面からの円高圧力を緩和することが出来る好機でもある。「市場を注視」から「政局注視」になりかけている財務大臣に、こうした金融市場の些細な変化を感じとって機敏な対応を期待するのは、所詮無理というものだろうか。




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近藤駿介

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