「反小沢」から卒業出来ないマスコミが蓋をする「政策論争」

「嫌い嫌いも好きのうち」ということなのだろうか。

「『脱小沢』三たび争点に」「政策論争 置き去り」「増税・脱小沢 争点に」

日本のメディアは、本当に小沢一郎という政治家の話題がお好きなようだ。過去最多の5人が立候補することになった民主党代表選挙を伝える27日の日本経済新聞は、各候補者の政策よりも小沢元幹事長絡みの記事で埋め尽くされた状態となった。社説でも「『親小沢』対『反小沢』の踏み絵を迫るような発想で次の首相に隠然たる影響力を行使するつもりだとしたら時代錯誤も甚だしい」と、「反小沢」の立場から「数の力」を誇る小沢元幹事長が代表選挙に強い影響力を持つことに対して厳しい批判を行っている。

日本経済新聞に代表される様に、日本のマスコミの民主党代表選に対する論調は、概ね「政策論争 置き去り」の「権力闘争」という視点に立つもの。しかし、こうした「反小沢・親小沢」の対立構図はマスコミ自身の報道姿勢が作り上げているものでもある。

27日の日本記者クラブで行われた民主党代表選の候補者5人がそろった共同会見でも、焦点の小沢元幹事長に関する質問が集中したとして、海江田経済産業相が「公平にやってもらった方がいい」と憤慨する場面があったことが報じられている。僅か3日しかない選挙期間中の各候補者の政策が聞ける貴重な時間を、「反小沢」という立場から小沢氏に関する質問に浪費してしまうマスコミに、「政策論争 置き去り」と批判する資格があるのか甚だ疑問である。

小沢氏に関する質問に時間を浪費してしまったにも拘わらず、日本経済新聞の28日付社説では「一連の発言では、短命に終わった鳩山、菅両政権の反省を踏まえ、政治をどう立て直していくかという筋道を明らかにするまでには至らなかった」と批判。「筋道」を明らかにする必要があるのであれば、共同記者会見で「筋道」について候補者に徹底的に質問を浴びせればよかったはずである。それをせずに「筋道を明らかにするまでには至らなかった」と批判するだけでは、マスコミとしての資質を疑われるだけである。

さらには、28日付紙面には「共同記者会見での5候補の主張」や「民主党代表選 5候補の政策と横顔」という比較表を掲載しているが、共同記者会見で時間を割いた小沢氏に関する内容については項目すら無い。これは日本経済新聞自身が「小沢問題」は政策や筋道にとって重要ではないと判断している証左である。自らが重要でないと判断している問題に関して、共同記者会見で時間を浪費するというのは完全な矛盾である。

共同記者会見では、円高・デフレ対策に関して、馬淵前国交相、海江田経産相、鹿野農水相が、日銀によるさらなる金融緩和の必要性を指摘した。これに対して野田財務相は「これからも過度な変動など投機的な動きがある時は、断固たる措置をとる」とこれまで全く成果を挙げていない為替市場介入も辞さない姿勢をあらためて表明。今後も予備費の活用や2011年度第3次補正予算などを含め、「間断なく円高への対応を講じていく」と述べ、日銀の更なる金融緩和の必要性には言及しなかった。
「円高対策」が必要だとしているマスコミは、こうした政策の違いについて何故もっと突っ込んだ質問をしないのだろうか。

また、片手落ちだと思われるのは、復興財源に関する増税や、社会保障と税の一体改革に伴う消費税増税に関しては政策課題として挙げられているが、景気対策に関する財源問題には一切触れられていないこと。名目GDP成長率が4年度連続でマイナスとなることが必至の情勢の中でも、震災からの復興を行えば日本の景気は回復すると考えているのだろうか。この点に関してもマスコミの感度は極めて鈍いと言わざるを得ない。

現在の経済情勢から必要不可欠な政策課題に関して有効な提言や議論を起こすことなく、相変わらず紙面では「決選投票にらみ駆け引き」「『2位以下連合』探る動き」と、数合わせの「政局」の話題に多くを割いている。マスコミがこうした「劇場型報道」を続けていることが、「国政立て直しへの道筋」を示すことを難しくしている大きな原因である。

マスコミは、事実上、小沢グループの支援を取り付けた海江田氏と、世論調査で高い支持率を誇る前原氏の争いと伝えている。共同記者会見で海江田氏に「政治とカネ問題」を抱える小沢氏に関する質問が集中したのもこうした前提がある。

一方、同じく「政治とカネ問題」を抱える前原氏には全くそれに関する質問がなされていない。28日付の紙面でも「外国人献金、新たに3人・1社」「前原氏『やましくない』」という僅かな紙面を割いて前原氏の会見内容を伝えるに留まっている。もしこれが小沢氏だったしたら、こうした軽い扱いになったか疑わしい限りである。

「外国人献金問題」を抱える前原氏が新代表に選出された場合、国会で「政治とカネ問題」で追及されるのは必至である。場合によっては短命内閣に終わってしまう可能性は高い。もし日本経済新聞が「短命に終わった鳩山、菅両政権の反省を踏まえ」というのであれば、短い期間であったとしても前原氏の「身辺調査」は徹底的に行うべきである。「反小沢」という感情的な立場から前原氏を支持する様な報道をしておきながら、問題が顕在化した後は「知らぬ、存ぜぬ」では報道機関としての信頼を得ることは出来ない。

前原氏が有力候補になっているのは、報道各社の「首相にふさわしい政治家」という世論調査で、軒並み断トツというのが最大の理由である。しかし、過去を振り返り、世論通りに選ばれた首相が、長く支持され続けたかというと、中曽根氏と小泉氏を除けばそうではないという結果も報じられている。
これは、マスコミが長年「首相の資質を欠く人物」に肩入れして来たことの証左でもある。もし日本経済新聞が「短命に終わった鳩山、菅両政権の反省を踏まえ」というのであれば、自らが必死になって菅首相誕生を後押しして来たことに対する反省も示さなければならない。

日本のマスコミは、「反小沢」「財政原理主義」に凝り固まり過ぎている。「反小沢・親小沢」という対立の構図を煽り、「増税政策=責任ある政策」という偏った思想を繰り返して報道している限り、「国政立て直しへの道筋」は見えて来ないはずである。「国政立て直しへの道筋を示すとき」であると思っていのであれば、マスコミ自らが先頭に立って「反小沢」「財政原理主義」から脱却する決意を示す必要がる。




スポンサーサイト

コメント

No title

http://kukkuri.jpn.org/1103arashijouhou.html
くっくりさんより再度拡散要請です。

おっしゃる通り。
マスコミ改革なしに
政治改革は出来ません。

No title

ジュン様
コメントを寄せて頂きありがとうございます。
マスコミには公平中立な議論の潤滑油になって欲しいのですが、今は偏った方向に世論を誘導するアジテーターになり下がってしまっているようで残念でなりません。
非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR