G7で懸念される「素人財務相の空騒ぎ」

「行き過ぎた円高に対して大変な懸念を持っており、投機的な動きには重大な関心を持っている」「ガイトナー米財務長官はじめ、年代が近いので信頼関係を高めたい」…。

聞いている方が恥ずかしくなってしまう様な発言を真面目な顔で出来るのが「素人財務相」の強みなのだろうか。前首相が就任半年間を「仮免許期間」と平然と発言して来た日本では、まだ就任数日の財務相のコメントがこの程度であっても仕方のないと諦るしかないのかもしれない。

それにしても「年代が近いので信頼関係を高めたい」などいう幼稚な発言は、本当に情けない。政治家が相手から信頼を得るために必要な条件は、「年代が近い」ことではなく、「能力」があることである。にも拘らず「年代が近い」ことを拠り所にする発言をするということは、自らの「能力」に自信を持っていないことを明らかにする政治家として「白痴的発言」。

「過度な相場の変動に対しては円売り介入も辞さない」という野田前財務相の方針を踏襲する考えを強調する「素人財務相」。しかし、ドル円相場は7月11日を最後に約2ヵ月間70円台の狭い範囲で推移(日銀発表17時時点レート)しており、「投機的動き」「過度な相場変動」とはかけ離れた穏やかな展開となっている。「素人財務相」は、スイスがスイスフラン高を抑制するため、スイスフランの対ユーロ相場に1ユーロ=1.20フランの上限を設定すると発表するなど「通貨戦争」が厳しくなる中、「過度な相場変動」を伴わない「市場最高値水準の円高」からの脱出を図る「介入」に対して、各国の理解を得る戦略を持ち合わせているのだろうか。

また、「素人財務相」は、G7会議で「今の日本の状況では円高が景気の下振れを招きかねないと伝える」と話し、円売り介入など円高対策について各国に理解を求める考えを示した。しかし、「今日の日本の状況では円高が景気の下振れを招きかねないと伝える」といっても、日本の景気の下振れがG7各国の景気に悪影響を及ぼすという説得力のあるロジックがなければ、単なるメッセンジャーとなり、G7内での「日本の孤立化」を内外に再認識させるだけである。

「素人財務相」は震災直後にG7各国が協調介入に応じてくれたという「成功体験」を財務省官僚或いは前財務相から吹き込まれているのかもしれない。もしそうだとしたら、世界経済は時間の経過と共に大きく変化することを無視した身勝手な認識でしかない。

震災直後はサプライチェーンの崩壊によって、各国の経済活動に支障を来すという可能性があった。しかし、サプライチェーンの復旧が進み、先進国の中で最も景気回復の可能性が高いとされている足元の日本の円高など、自国通貨安による外需を景気回復のエンジンとしたいと思っている各国にとって見向く必要もないもののはずである。

ここでは国内で「日本の景気回復のリスク要因は欧米の景気動向である」と繰り返して宣伝して来たことも逆風となる。日本が国内で繰り返して来たこうした宣伝活動は、欧米から外需主導の景気回復の可能性を奪う「欧米通貨高・円安」は、欧米の景気後退が数少ないリスク要因となっている日本経済にとってマイナスになる、という口実を与えかねないものだからだ。

今週末フランスのG7で、日本の「介入」に理解を得る可能性はかなり低い。そうした状況下、「素人財務相」が「介入」に対する各国の理解を得ようと張り切れば張り切るほど、日本のG7内での「孤立化」を浮き上がらせることになりかねない。今回のG7は、可能性の低い「今日の日本の状況では円高が景気の下振れを招きかねない」ことに対して各国の理解を得る「素人財務相のお手柄」に期待するよりも、「素人財務相の空回り」によって「G7内での日本の孤立化」を鮮明化しないことを願うだけのものだと考えておいた方がよさそうだ。



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近藤駿介

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