劇場型事業仕分

天下り解決まで宝くじ販売停止。行政刷新会議は原口総務大臣に対して異例の要請をした。自治体の自主財源の宝くじ売上げが官僚OBの人件費に回る構図と、官僚OBらの2,000万円前後の高額報酬、過度に豪華なオフィスという運営上の問題が、事業仕訳第2弾でやり玉に挙がった結果だ。しかし、事業の仕組と運営に関する問題点が、どうして「販売停止」という結論に結び付くのかはイマイチ理解し難い。多くの宝くじファンは、やり玉に挙がった点に関しては賛意を示すのだろうが、「販売停止」という結論を支持するかは怪しい限りだ。

まだ第2段であるにも関わらず、「劇場型事業仕訳」を見ていると既に手詰まり感を抱いてしまう。第2段は「天下りの本丸に迫る」というテーマが掲げられていることもあり、仕訳人は公益法人理事の給与水準に異様な執着を見せており、「理事の報酬を5%削減した」と説明する公益法人に対しても「5%という数字の論理的な根拠を示せ」と追及の手を緩めない。こうした数字に論理的な根拠などある筈もなく、理事の給与が具体的に幾らなら良いのか仕訳人が示すこともないので、必然的に議論が平行線を辿るばかり。

もともと今回の事業仕分け第2弾で対象となっている公益法人・独立行政法人向け補助金のトータル金額は約3.4兆円(10年度予算ベース)と、事業仕訳第1段の予算削減目標程度だ(第1弾事業仕訳による実際の予算削減額は約6,900億円)。こうした削減額が限られている状況下で公益法人の理事の給与水準という枝葉末節かつ平行線の議論を繰り返すことは、効率性の面からも避けなければならないはずだ。なにしろ、事業仕訳第2段には、仕訳人以外にも国から3,500万円近い歳費を受取っている(月収、ボーナス相当分、文書通信交通滞在費含む)衆参国会議員95人が公益法人の事前調査に加わっているのだから。

国から多額の歳費を受取っている国会議員や、高額な年収を貰っている外資系証券会社のエコノミストが顔を揃えている仕訳人達が、1,500万円前後の理事の年収に焦点を置いて平行線の議論を繰り返している構図は、余りにも非効率、かつ、ある意味滑稽な光景だ。仕訳人達は、本当に約6,600あるという公益法人の改革と実際の予算削減に繋がると考えて、今の様な議論を繰り返しているのだろうか。非効率な個別の議論を単純に繰り返すだけではなく、そろそろ法的な規制を掛ける可能性を探るなど、事業の仕組を根本的に変える議論がなされることを願わずにはいられない。

公益法人を抵抗勢力に仕立て上げてそれを叩く、という今の事業仕訳のやり方は、小泉元首相が演出して人気を博した「劇場型政治」と同質のものだ。郵政選挙での自民党大勝と、その反動による民主圧勝による副作用に苦しめられている国民が、何時までもこの様な「劇場型政治」に寛大で居続けるはずはない。「劇場型事業仕訳」も、早晩国民から「見直し」という判定を突き付けられそうだ。



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