2011/10/18
疫病神の呪い ~消費税率は景気が悪化しても計画的に引き上げることが適切
「疫病神の呪い」だろうか。「政界の疫病神」とされていた与謝野前経済財政担当相の置き土産である、内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」は17日、「実質的な経済成長を伴わない物価上昇」では、税収とともに歳出も増加し「財政収支を悪化させる可能性が高い」とする中間報告をまとめ、「インフレで財政再建できるため増税は不要」とする意見を牽制した。この有識者会議の狙いは増税を巡り議論が迷走した社会保障と税の一体改革などについて、「学術的な観点」で意見を求め、政策運営に生かすこと。
日本経済新聞は、「来年通常国会での消費税率引き上げの関連法案提出に向け地ならしを急ぐ政府を援護した格好だ」と報じ、早速「でっちあげ国際公約」実現の後押を始めた。
「学術的な観点」で意見を述べるなら、「名目成長を伴わない物価下落」が「財政収支を好転させる可能性が高い」のかについての議論の結果も報告するべきである。
日本経済新聞が報じている通り、この中間報告が「実質的な経済成長を伴わない物価上昇」では、税収とともに歳出も増加し「財政収支を悪化させる可能性が高い」ということしか謳っていないのであれば、そもそも「学術的な観点」で欠落した議論である。
また、他の議論に関する報告もされているのに「実質的な経済成長を伴わない物価上昇」では、税収とともに歳出も増加し「財政収支を悪化させる可能性が高い」、という点だけを日本経済新聞が報じているのだとしたら、これはあってはならない完全な世論操作である。
そもそも何で、誰も望んでいない「実質的な経済成長を伴わない物価上昇」という極端な事例を持ち出す必要があるのだろうか。「需要不足社会」で増税による財政再建を優先する「財政再建原理主義」に反対する立場を取る人達の主張は、「実質的な経済成長を伴わない物価上昇」を目指せというものではなく、「緩やかな物価上昇を伴う、名目、実質共の経済成長」を目指せというもの。そのためには、「需要不足社会」にさらに「デフレ圧力」と「需要低下圧力」を加える「増税」よりも、まずは「需要不足」を補うために「財政」も利用した「成長政策が必要」というものである。
「財政再建原理主義者」は、「消費税率は景気が悪化しても、計画的に引き上げることが適切」とする自らの教義に反する意見の主旨を不当に歪め、大手マスコミを利用して「反財政再建原理主義者」が偏った考え方を持つかのような悪意のある宣伝を繰り返している。
「経済社会構造に関する有識者会議」は、「駅前総理」が「疫病神の呪い」を「政策運営に生かす」前に、「消費税率は景気が悪化しても、計画的に引き上げることが適切」という政府の主張が「学術的な観点」から適切なのかを議論し、国民に報告するべきである。
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